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気象と戦術
天候は勝敗を左右し、歴史を変える
気象を味方にしたものだけが生き残る
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陸海空の作戦において「気象」を考えずに行動することはできません。天候は常に晴天というわけではなく、視程が短くなる曇天や夜間、濃霧、砂ぼこり、視程だけでなく兵士の体力を奪う雨天、部隊の行動を極端に阻害する積雪・泥濘など、時間や場所、季節によってさまざまです。もちろん、銃弾、砲弾、ミサイル、航空機などは風、気温、気圧などあらゆる環境に影響されます。戦場において「気象の正確な知識なしに勝利を収めることは不可能」といっていいでしょう。いかに天候を「味方」にするかが指揮官に求められる資質です。本書ではさまざまな戦史を見ながら、気象と戦術の関係を解説します。
はじめに
第1章 「雨」が勝敗を決した戦い
1-1 ワーテルロー会戦 決戦前夜の大雨で砲兵の展開が4時間遅延
1-2 ディエン・ビエン・フー 熱帯モンスーンがフランス軍を敗北させた
第2章 「積雪と寒冷」が勝敗を決した戦い
2-1 ロシアの冬将軍(1) モスクワ侵攻はナポレオン凋落のプレリュード
2-2 スオムサルミの戦闘 モッティ戦術による「誘致」「包囲」「打撃」「殲滅」
2-3 ロシアの冬将軍(2) バルバロッサはナポレオン軍の二の舞
第3章 「視程」が勝敗を決した戦い
3-1 夜暗の克服 人間の目(可視光線)とレーダー(電波)の戦い
3-2 視程の克服 湾岸戦争(1991年)に見る視察装置の戦い
第4章 「海象」が勝敗を決した戦い
4-1 第4艦隊事件 巨大三角波が駆逐艦の艦首を切断
4-2 マレー作戦 まずマレー半島東岸に奇襲上陸
4-3 キスカ撤退作戦 海霧の発生が作戦成功の鍵だった
第5章 気象という名の「兵器」
5-1 逆転の発想 マッカーサー元帥は「5,000分の1」に賭けた
5-2 目的達成のための気象・自然の軍事利用 気象・自然を「兵器」として使用する
第6章 気象と戦場アラカルト
6-1 雲 雲は航空活動やセンサーなどの機能に影響する
6-2 そのほかの気象要素 人知を超えた自然現象もある
6-3 奇襲と気象 気象に奇襲されることもある
6-4 兵士への影響 兵士は等しく気象の影響を直接受ける
6-5 装備への影響 気象は敵にも味方にもなる
6-6 電子光学システムへの影響 電子光学システムは水関連が鬼門
6-7 NBC への影響 NBC の効果は気象に大きく左右される
参考文献
索引
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(C) 木元寛明 2019
ページ数:192ページ
出版日:2019/07/16