お嬢さま育ちがメイドを生き生きとこなして、でもお嬢さまらしい脇の甘さがダダ漏れであちこちイタい（黙って出産とか乳児置き去りとか）けど、 自分の出来る範囲で一生懸命ぎりぎりまでやろうとする前向きさには好感が持てました。 人のせいにしたあげく盗みを正当化するいとこはもっとお子ちゃまだし、人間的に未熟なヒロインが貧乏暮し、妊娠、出産を経て成長したと思えた。 ヒーローはいいひと。 でもメイドをディナーに誘ってそのままベッドインしたあげく忙しいからまた会えるでしょと軽く考えてるとこはやっぱりイケメン富豪らしいイタさに見える。 それぞれのいとこ二人以外はみんないいひとな作品。 読んでて楽しかった。ドアマットや鬼畜系は好まないので(笑)。

無料版で公開されている真っ最中に有料セットに入れるのはどうかと思いました。 以前にも無料版で読んだ事があるし、繰り返し同じ本ばかりをセットに入れられても・・・。 話は美醜は結局自分の心次第だし、ハーレクインではたとえ醜くてもヒーローに救われるんだなと再認識。

画の線がしっかりしていて見やすく、すごくきれいでした。 でも、ストーリーが変化するときにあまりに唐突で違和感がありすぎました。 叔母の屋敷からミラノへの数回の移動、ヒーローとのやりとり、ヒーロー屋敷へ行く過程、ベッドシーンへの感情の動きなど。 コマ割りを細かくして映画のカットのように使いたかったのだと思いますが、一コマ一コマが端的すぎて全体の流れが止まってしまっていたように感じました。 首筋のアップとかクローズアップすぎてどの部分にどういった仕草で触れているのか、よく見直さないとわからなかったり。 納得のいく話の流れって重要です。 ディナー後のキスシーンはグッときました。 ああいうシーン展開をもっと見てみたいです。

設定はたたき上げ富豪のヒーローとWASPの弁護士のヒロインと雲の上だけど、ストーリーは家族のトラウマから抜け出せないヒロインがこの騒動をきっかけにヒーローを信頼することを覚える話で、どこにでもありそうで理想的な展開がうれしかった。 ヒーローは気は優しくて力持ち。好みのヒーローで、心の子供らしさを育てきれずに持ったままのヒロインに寄り添ってゆっくり育てて昇華していく感じが〇。

質の良いオペレッタを見ているようでした。ヒロインの純粋さがよくわかります。 クライマックスのひとつ、夜の女王のアリアのところでは、実際に観客となって観劇しているような気持になりました。 告白シーンではヒーローの焦り、嘆き、後悔、愛情が胸に迫るように理解できました。 ところどころの表情や立ち絵に今一つ納得できない部分はあったものの、全体を損なうことのない素晴らしい画で、読後感がとても良いです。