コミック見てから原作読んでみましたが，この作品は原作の方が好き．ヒーロー/ヒロインともにプライド高く，繊細，不器用でお互い傷つけ合ってしまうという・・内面的には似た者同士といった印象だけど，子は鎹で，子どもとの関わりを通して，二人の絆，家族の関係を修復していくところが醍醐味かも．序盤の二人，それなりに未熟感満載でイラつく場面も多いけど，二人の会話，復縁してから徐々に心の内を曝け出し，何気に味わい深く感じてくる終盤・・，派手さはないんだけど，二人の成長の跡は見えて，他の方のコメントにもあったけど，意外とイイじゃない！

コミック版は絵も怖いけど，ヒーロー，ヒロインともメンヘラ状態マックスで，ある種のホラー，かなり怖い・・．口直しに原作読みました．原作でもヒーローのヒロインに対する執着，妄想はコミック版と同じだけど，終盤，ヒロインがヒーローの執着愛に溺れていくのではなく，自分を取り戻そうとヒーローに抗って行動していく様が，まさに邪気祓いとなって良かった．

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因縁もの，ヒーローはヒロイン父に長年の復讐心を抱き，ヒロインに惹かれながらも，ネガティブなバイアスから中々自由になれないヒーロー，さらに思い込み激しく独善的なタイプで，彼のヒロインに対する態度に怒り心頭に発する場面が続きます・・．終盤，無垢でお嬢様だったヒロインが，その後，ヒーローによって失脚させられた父と二人，恐らく，多くを乗り越えてキャリアを掴んでいったのかな・・？，彼女の精神力と慈愛が，結果的にヒーローの心を救い・・，愛の至福に浸るラストシーンへ．傲慢なヒーロー，復讐心を手放して，やっと愛に気づくわけですけど，終盤に1度だけ（多分）”アガペ・ムー”とヒロインに囁くシーンがあり，意味を持たせている感じで，これが作者さんの今回のテーマかな？などと感想を持ちました．やっぱり本当に強くなければ寛容になれないわけで，ヒロインの無償の愛に感動．何度か読み返すと味わいが出てくる作品かと・・．あまり怒らずに・・．

設定にかなり無理があるのですが・・，ラブロマンスというよりラブコメとして読めば，このヒーロー，豪胆・単純明快・頑固で嫉妬深く，本能の赴くままに生きてるタイプながら憎めない役どころ．終盤にかけてのH/hのやり取りはかなり笑えます．序盤はリングレらしい傲慢ヒーローに酷く苛立ちを覚えますが，終盤にかけてのヒーローと言えば，ヒロインの出産時の様子を聞いて気絶するわ・・嫉妬に駆られて衝動行動に走るヒーローが可愛い．”ラブコメ”として読めば・・かなり笑える．

納得いかないために何度も読み返してしまう・・．これもDPの筆力？！ヒーロー，元カノに振られ，彼の高慢なプライドは”負け”が許せず，いつまでも元カノに執着している．ヒロインは社会的に成功している女性だけど，性的虐待を受けた過去のトラウマで男性不信の身，恋愛においては自分に自信がない．そんな二人は本来の身分を隠し，本来の身分を落とした設定で共同生活することに．この非日常空間と緊張ゆえに，それぞれの隙間にハマっちゃった関係？ヒロイン妊娠，でもでも，ヒロインに気持ちが傾く自己を否定しようと繰り出されるヒーローの言動，これがまた本当に残酷でヒドイ．一転，ヒロインがアッパークラスとわかると，掌返し．彼女に対する”価値”上昇で元カノの影一気に薄れ，後悔反省と愛の告白タイムに突入するわけですが，やっぱりこのヒーロー，結局のところ，”トロフィー“を手にして満足しただけじゃないの？という疑念が晴れず，読後感悪し．

いくら弟の治療費が必要であったとしても，ヒーロー母の形見を売るという発想が理解できない．（ヒーローに）嫌われたくなかったから弟のことは言えなかったと弁解しているが，これはもはやその人としての人格に関わる問題で，余命１年と宣告されている立場のヒーローを思えば，これはささやかとは言い難い背徳．意外にあっさり許されてしまうのは・・？　原作を読んでいないので何とも言えないが，コミック版を読む限り，読後感悪し．

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原作と設定が懸け離れ過ぎてしまって，コミック版はあまり楽しめない．ここでのヒロインは美しくはかなげで触れなば落ちんといった存在，一方的に暴君にお仕着せられた印象．原作では冤罪という実に理不尽な環境から見事に自立を果たした魅力的なヒロインが，強情，強引で頑なな暴君に惑わされつつ・・暴君の心を開き，愛を目覚めさせていくといった展開．確かに冤罪という設定は重いのですが・・，こうした背景もヒロインの高潔さを際立たせているように思うので，コミック版でこうしたニュアンスが上手く描かれていないために，かえって怖いお話になってしまったことがとても残念．

ヒーローは，まあ悪意無き”魔王”というべきか・・，独善的，自己中，思い込み激しく，強引，強情，おまけに性急で，自分の欲望には実に素直に誠実という点でヒロインに対して悪意の無い暴君．ＨＱに登場する暴君の中でもトップレベルではないかと．一方，ヒロインは理不尽な過去を乗り越え自立した芯の強い魅力的な女性なのですが，この魔王の前では為す術もなくグイグイと魔王ペースで魅せられていってしまうわけです．前半はこの暴君の言動に苛立ちを覚えるほどでしたが，中盤あたりから，もうこれはラブコメディか？と思うほど笑ってしまい，魔王に愛嬌すら感じてしまうほど．この魔王の勢いは誰にも止められそうになく，ヒロインにとっていつしかこの無断侵入者が愛すべき存在となっていくといった展開もユニークで充分受け止められました．・・・愛に目覚めた魔王とシンデレラのラブコメという括りで，個人的には想定外に，かなり楽しめました．

最初に原作を読んでからコミック版を読みました．過去の傷付き体験を引きずって，プライドの高さゆえに臆病になりヒロインに当たってしまうヒーローと，一途にヒーローを愛するゆえに苦悩するヒロイン，二人の誤解と葛藤が交錯するところにハラハラするところは原作に及ばず，コミック版ではあっさり描かれていましたが，ＨＱお約束の展開に個人的には大変満足．先に原作に満足していることもありますが，贔屓目で星５つです．ただ周囲の人間模様，兄や義父母（爆撃を受けたサラエボの養護施設から兄妹が養子にもらわれた経緯があるのに）との関係が少々希薄過ぎる印象で，読後に気になってしまいました．兄にも幸せになってほしい！

ヒーローの傲慢さも際立っていますが，それを含めて個人的に好きです♡　好きな作家さんですが，やはりラブロマンスの古典という展開で楽しめました．