ヒロインのお兄さんが嫌いです。兄弟姉妹って、いずれ別々の人生を歩んで行くわけですよ。兄弟姉妹の一生に、責任なんてもてない。それなのに、この兄は妹を「そのままでいてほしい」と心理的に繋いで閉じ込めていたんですよねぇ…。もし父親が娘に自分の性的な経験を話して聞かせれば、場合によっては「性的虐待」に該当します。兄は当時ティーンエイジャーで考えが至らなかったのだとしても、「妹に性の話を振る、そのおかげでヒロインは若干男女の関わりにトラウマ気味、それを内心歓迎している兄」って…本当に気色悪いです。

よいお話だと思います。ヒーローもヒロインも善良で、二人の友人たちも悪い人はいない。でも、この友人たちのおせっかいは行き過ぎていて不快です。人には何事にもそれぞれのペースというものがあるのに、この人たちときたら！　仮にそのペースを破るにしても、自らの意志で時と場と相手を選ぶことが大事だし、それこそが話の醍醐味なのに……大事なところを引っ掻き回して、勢いで「くっつける」感じが酷く気持ち悪いです。ああ、でも、もうそもそもの「可哀相なあなたに」「友人を紹介したい！」っていうのが嫌だなあ。実際紹介なんて要らなかったんだし……いいお話だしヒーローもヒロインも好きなのに、友人たちの大きなお世話にもやもやしたものが残ります。ヒーローやヒロインが自力で傷を乗り越えるところが見たかったなあ……　だいたいくっつけるって何？　ナニサマなの？　繁殖馬じゃあるまいし、他人の思惑で適当に交配されちゃたまらないわ、この馬主サマたちめ、という憤り以外は私にとっては最高のお話です。