立ち読みできる所までが、なかなかスリリングな展開だったので、期待して読んだのですが、うーむ。すべてがブレてるとしか言いようがない。誘拐事件にからむサスペンス。ヒロインを競い合うヒーローとライバル。身分違いに立ちはだかる王室の壁。どれも中途半端なままなのに、「はい、めでたし、めでたし」と終わってしまいました。よかったといえば、作画がきれいだったこと。たまに仕上がりにムラのある著者ですが、この作品はGJ。

自分に自信の持てないヒロインがうまく表現されていて、ものすごく切ない気持ちにさせられました。タイトルにブラックシープ（黒い羊）とありますが、完璧なようでいても、自分の事を黒い羊（厄介者）と感じているヒーローとお互いに惹かれあうものがあったんでしょうね。実は、著者の作品を苦手に感じていたのですが、このシリーズ3作、どれもすごくよかったです。月額コースでこういった幸せな出会いがあるのはうれしい事です。

ストーカーだよ、ヒーロー。怖すぎ。チャールズと一緒になった方が正解なんじゃない？と思ってしまいました。レトロという評がありましたが、池に落ちた子供に「ぼうやー」と呼びかけるママとか、ほんとにレトロ。違う意味で楽しめたので、ハート3つにしました。

軍人らしい精悍な感じをイメージしたのだと思いますが、しかし、そのヘアースタイル・・・。ちょっと切れ込み深すぎませんか？？？ヒーローの額から目が離せない状態。難しい設定のお話をそれなりにまとめているだけになー。

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いやあ、80年代初期のHQの表紙絵を彷彿とさせるこの絵柄。ヒロイン、40代くらいに見えますが、当時の20代ってこんな感じで大人ーなファッション＆メイクでしたよね。生活に疲れたイギリス人がスペインに逃避行しちゃうっていうのも王道だし。何もかもすごーくクラシックで昔懐かしい。という訳で懐かしさにハート4つです。

なかなかシリアスです。ほんわか幸せムードのお話じゃなくて、二人の駆け引きがピリピリと感じ取れます。精神的なSM関係ともいえるかも。どちらがどちらをいたぶるのかは読んでのお楽しみです。そして、緊迫感のある話をいっそうきれいに魅せる絵師の腕前。ヒロインのドレスアップした時の姿と日常のお疲れ気味のOL姿。あっという間に話に引き込まれました。

しっとりとした大人の話です。子供を抱えた死別の女性が新しい恋をするにはやはりこれくらいの葛藤があるでしょう。子供だって新しいパパを受け入れるのはそう簡単じゃないし。すごくリアリティがあってよかったです。残念だったのが、双子のお嬢ちゃんたちです。8歳という設定ですが、どうしても8歳には見えない。あの身体の大きさでは3歳～5歳にしか見えないな。

ヴァージニアと母親の関係が、スティーブン・キングのキャリーを思い出させました。キャリーは哀しい最後だったけれど、ヴァージニアはつらい過去を乗り越えて幸せになれてよかったね。荻丸先生の絵柄は華やかさがないので一見地味目なんですが、シンプルながらも的確な表現力。素朴なタッチで描かれるヒーローになぜか毎回ドキッとさせられます。なんにせよ、ストーリー展開に関しては名人芸の域だし、大好きな作家さんです。

丁寧な作画で黒髪ヒーロー君もたおやかヒロイン嬢も素敵・・・絵師のレベルは高いのです。でも、なぜか恐怖マンガに近いテイスト。不思議です。特にヒーロー君は常に緊張感漂うシリアスぶり。あまりにシリアスすぎて、ヒロインの同居人の彼（ゲイカップル）を見た時の顔面蒼白の驚きぶりに、思わずコーヒーを噴出してしまいました。マッチョな彼には「未知の世界」だったのかしら？その顔があまりにもかわいかったので、星4つにしました。