家庭の事情から、自己評価が低く言いなりだったヒロインが、ヒーローに恋して変わっていく成長物語。外見はスキのないお嬢様なんだけど、素の彼女は天然でドジっ子。純粋で素直な彼女は、ギャップ萌えもあって、とても可愛く感じました。ヒーローもほんと好青年で彼女を支えるんだけど、当初いい人すぎて、胡散臭く感じてしまった。まぁ、本当に誠実で真面目（ちょっと融通がきかないくらい）な人だったけどね。絵も安定してずっと綺麗でした。ヒーロー兄のスピンオフも、思いっきり連動しているので、そちらも読んでみたいです。

自分の事は棚にあげ、相手のことばかり糾弾するヒーローに、ムカムカしすぎて、途中で読みたくなくなった。結婚は名ばかりで、３人も愛人がいたんだよ！　いくら弱みを握られて、結婚生活をやり直すことになったからって、そんな男の子供は産みたくないよ。後悔するのは目にみえてる。最後の最後に好きだったなんて言われたって、誰も信じない。ヒーローもそれを許すヒロインも馬鹿じゃないの。

最初は、無責任で頭が弱そうにみえるヒロインですが、読み進めるにつれ、我侭も彼女の魅力の一つと思えるくらい可愛い女性であることが分かる。何といっても笑顔がいい。自分の運命に対して不満を抱きつつも、素直で前向きに行動するその姿勢に、ついつい親身になってしまう感じ。途中から展開が読めますが、それでもオアシスでの切ない決意には、うるっときてしまった。あー、全員ハッピーエンドのＨＱでほんと良かったです。

森先生、絵は綺麗なんだけど時々効果が昼ドラみたい…、とちょっと思ってました。けれどこの話、昼ドラならぬ神ドラですよ。弟の骨を海に撒き、一人泣き崩れるヒロインの下に現れたヒーローのシーン(たぶんP110)、顔面アップに後光が射してる!!　読みながら、仏じゃないんだからいくらなんでもこの効果はないよー、と突っ込み笑いをしちゃったのですが、あとがきを読んで納得。先生は、なんと神のつもりで描かれていたのですね！　思わず私まで、画面に手を合わせちゃいました。最後に、話自体はよくあるハーレクインでした。