こころの相続
あなたは人生で何を遺すか
330万部ベストセラー「大河の一滴」がいままた話題!
国民的作家、その真骨頂!
未曽有の時代に、作家がもっとも伝えたいこととは
「遺産」とはお金や土地ばかりではない。
私たちが相続するものは、経済的な「形あるもの」ばかりなのか。
人との挨拶の仕方、お礼の言い方、そのほか数えきれないほどのものを、私たちは相続しているのではないか。いまこそ「形なきもの」の中にある大切な相続財産に目を向けよ。
「魚の食べ方」という身近なエピソードから出発し、両親との記憶、日本の文化や戦争へと広がっていく話題。コロナで人と人のつながりが問われるいま、90歳に手が届く年齢となった作家が、深い思索と洞察から導きだした渾身のメッセージ。
あなたは何を遺しますか――?
第1章 こころの相続とは何か?
なぜいま相続を考えるのか
魚の食べ方も相続
お金や土地より大切なこと
見えない相続が人をつくる
喋り方も仕草も贈与
集団で想いをつなぐ
風化する戦争体験
第2章 親からの相続を考える
父親の記憶
「記憶の相続」がないという後悔
親は歩いた道を子に物語るべし
父親からの見えない相続
幼児期の思い出こそ財産
人間はため息から出発する
「偉い父、立派な母」を見せる必要はない
養生の相続
子孫には美田を遺さず
第3章 相続するもの しないもの
芸や文明も相続の大事なもの
文字ではなく肉声で
「桜」から「梅」の時代へ
手垢のついたものにこそ価値がある
時代を引き受ける覚悟
命がけで守った信仰
念仏の精神が都市をつくった
相続を拒否する恐ろしさ
移転で途切れる精神
相続しないほうがいい「反相続」
第4章 記憶力よりも回想力
回想は下山期にこそ
ガラクタを捨ててはいけない
歌も回想の憑代
同じ話でもかまわない
相続を受ける作法
面授で伝える
押しつけにならない工夫
歴史には裏街道がある
話したがらない話こそ資産
第5章 日本人としての相続とは
民族文化という宝
デザインや車にも相続がある
高校球児に日本文化を見る
若者と高齢者をつなぐ
時代に刻印された相続
泣けなくなった日本人
第6章 いまこそ記憶の相続を
大局より一人の兵士
それはほんとうだろうか
歴史がちがっているという感覚
個人の体験こそ戦争の真実
歴史の表と裏
痛みを相続する
美しすぎる「許せない歌」
私が相続した「負の記憶」
家族からの見えない相続
「こころの相続」のすすめ
あとがき
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(C) Hiroyuki Itsuki 2020
出版日:2020/07/06