発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち
疾患モデルではなく、ただ少数派なだけ!
「無理に治さなくていいのか!」「目からウロコが落ちた!」と大反響
「こだわりが強い」「うっかり屋」「気が散りやすい」……
発達障害は、じつは疾患モデルではなく、
ただ少数派なだけ!
●発達障害の人は、なぜ独特の行動をとるのか
私は、精神科医として30年あまり、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきました。それだけの期間にわたり、臨床医として活動している例は世界的にもまれです。そのような機会があったからこそ、発達障害のやや不可解な部分について、いろいろと知り、いろいろと考えることができました。その成果をこの本を通じてお伝えします。
発達障害の入門書や解説書はすでにたくさん出ていますが、この本では、私の長い臨床経験から、ほかの発達障害の本にはあまり書かれていないことをお話ししていきたいと思います。それは、発達障害のなかでも割合がかなり多いにもかかわらず、十分に理解されていない人たちの話です。
発達障害にはASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)などの種類がありますが、じつはそれらの種類のいくつかが重複している人が、かなり多くいらっしゃいます。そして、そうした重複例はかなり多いにもかかわらず、適切に理解され、対応されていないケースがよくみられるのです。
自閉スペクトラム症には「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特徴があります。そしてADHDには「気が散りやすい」「じっとしていられない」という特徴がみられます。
「こだわりが強いこと」と「気が散りやすいこと」は、一見するとまじりあわない特徴のように思われます。しかし、それらが重複して現れるケースがよくあります。
(「はじめに」より)
はじめに 発達障害の人の行動や心理によりくわしく
プロローグ 発達障害かもしれない人たち
この人たちが発達障害かどうか、わかりますか?
ケース1 時間にルーズな男の子
第1章 「自閉スペクトラム+注意欠如・多動」な人たち
発達障害の特性は重複して現れることも
なぜ発達障害の特性の重複は理解されにくいのか
第2章 発達障害と「ふつう」はどう違うのか?
発達障害には「強弱」がある
発達障害と「ふつう」の境界線はどこにあるのか
第3章 発達障害の人が「本当の自分」を知る方法
特性の「重複」と「強弱」を考える図
従来の「重複例」と、この本が考える「重複例」
第4章 「やりたいこと」を優先する!
特性がわかったら「環境調整」を
発達の特性への対応には2種類のアプローチがある
環境調整が十分に行えないケースも
第5章 自分が「発達障害かもしれない」と思ったら
発達の特性がある人の「生きづらさ」を軽視しない
微妙な「生きづらさ」からわかることがある
おわりに あらためて、発達障害とはなにか
ほか
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(C) Hideo Honda 2018
出版日:2018/12/05