この原作を読むと、漫画版がとても原作に忠実にストーリーも雰囲気も再現していると思いました。ヒストリカルなので、男性の性格や振る舞いはぶっきらぼうだったり高圧的だったりしますが、私はそれも厳しい環境を生き抜く男の強さと思い読みました。物がない中、ヒーローがヒロインに対して皮のサンダルを作ってやる場面は男の優しさを感じる素敵なシーンです。

女性の社会的地位が低いという前提があるヒストリカルならではのお話しです。行き場のないヒロインが拾われること自体がファンタジーじみていますが、そのときのヒーローとヒロインのやり取りがなんとも素敵で「恋の始まりってこういうものだよね」とひとり悦に入って読みました。私は好きな話です。

ヒロインには秘密があります。この話の骨はそこにあると言ってもいいです。この秘密のせいで、ヒロインは嘘もつくし冷淡な態度もとるし理性と感情がずれるようなジレンマに陥ります。そんなヒロインに振り回されている（当人はそんなつもりはない）ヒーローを見るのも面白いです。そして、後半のどんでん返しは爽快です。前半が少し陰鬱な雰囲気なので余計そう感じます。

作品紹介でも触れられていますが、ヒーローは本当の身分を隠しています。その設定自体は私は好きですし、読者がドキドキしながら読めること間違いなしです。でも、ヒーローに感情移入して読んでいくとやっぱり心苦しいし、ヒロインも良い気分ではないですよね。なのでハートは４つです。

原作は読んでいないので何とも言えませんが、後半がどうも駆け足ぎみですね。アリスン先生のヒーローの魅力的なことは間違いなくて、その辺は安心して読めるのですが、終わりに向かっていく段階でもうちょっと盛り上げが欲しかった。あっさり味のハッピーエンドでした。

この作家さんの画力が半端ないですね。女性はすごく素敵で魅力的だし、男性はセクシーでカッコいい！お互い、心にトラウマを抱えている中で愛情を見出していく過程は素晴らしいですよね。気持ちがときめいて若返った気分です。良い作品です。

くぼた先生、大好きなんです。情緒的な表現が多くて、しみじみとした読後感があります。ヒロインが目覚めたときの戸惑いがすごく伝わるし、そのときにヒーローにときめいた気持ちを隠しているのがいじらしいです。登場人物の大半が誠実で善良なのがいいですよね。その分、前の妻の酷さが際立ちます。

このお話、すごく好きなんです。船の上でのヒーローの笑顔が格別に良いです。ああー、ヒロインのこと好きなんだなぁとしみじみ感じます。原作は読んでませんが、漫画版では、主人公は完全にヒーローのほうですね。冒頭は憎まれ役のヒーロー、でも最初から最後までヒロインラブなんですよね。繰り返し読んでしまいます。

９年前にヒーローにひどい扱いを受け、さらにわが子を人に預けるという苦渋の選択をしたヒロインの心情を思うと、心が締め付けられるようです。ヒーローの懺悔は心動かされますが、ヒロインがあっさり許したので、私としては「えー」っという気持ちです。読後感はグッドです。さすが荻丸先生でした。

ヒーローとヒロインが言い争う場面が多いんですが、それがすごくドキドキするんです。ヒーローは、根は愛情深いのでしょうがなんせせっかちで生真面目。で、プライド高し。ヒロイン、辛いよねーと同情します。

話の途中で「早く秘密を告白しちゃいなよー」と言いたくなることたびたびです。ヒロインに対してね。ヒーローとの緊張関係がこの作品のミソなんでしょうが、読者は秘密を知っているので、知らずに怒ってるヒーローが可愛そうに思えたり。それでも、そんな行き違いがあっても段々強い絆で結ばれる二人を見るのは良いものです。あと、明らかな悪役が分かりやすくてイイですね。悩まなくていいです。

まず、ストーリーが素晴らしい。ミステリーとしても面白いと思いますし、お約束のように二人の愛が危機に晒されるのでドキドキします。最終的に主人公以外にもカップルができるので、幸せ気分が二倍になりますが。あと、この作品のヒーローは男性としてパーフェクト。登場人物から欠点を挙げられますが、そんなのは全く気にならないほど素敵な男性です。（というか、私のタイプそのものなので）なので、ヒロインに感情移入して読み進むととても良い気分になれます。

なんといっても、ヒロインの聡明さが好感持てます。そこにヒーローが惹かれていくことにも共感が持てますし。ヒーローは事情があって自分の気持ちを表に出せないのですが、ときおり見せる素直な部分をヒロインがちゃんと掬い上げて心の交流が見られるのがいいです。作品紹介であるように、ヒロインは美人の姉と妹の陰で控えめに生きてきたのですが、最終局面で勇気を振り絞って人生の幸せを手に入れたときは本当に良かったと思えます。