愛し合ったふたりの間に子供が生まれる。とても自然で、これ以上の幸せはないはず。なのに、絶対に彼には言えない事情があるの――これ、「ハーレクインコミックス」の世界ではとても重いテーマ「シークレット・ベビー」なのです。
「幸福な家庭はみな同じように似ているが、不幸な家庭は不幸なさまもそれぞれ違うものだ」――ロシアの文豪トルストイの有名な言葉ですが、ハーレクインにおけるシークレットベビーの事情もまさに同じようにバリエーションに富み、背景には複雑な人間関係が隠されています。このドラマティックなテーマは、ほかのジャンルの作品では決して出会えませんよ！

“隠し子”の存在を知ってしまった冷酷な富豪の仕打ちに翻弄されるヒロイン

　「恋の罪、愛の罰」（羽生シオン／アビー・グリーン） のサマンサは、かつて激しく愛し合ったラファエレの子供を身ごもりましたが、妊娠を告げる前にあっさりと捨てられてしまいました。ひとりで子供を育てていたサマンサですが、運命のいたずらからラファエレと再会します。子供の存在を知られたら、きっと彼は財力と権力の限りを尽くして私を際限なく責めるに違いないわ――サマンサは必死で抵抗しますが、努力もむなしく、彼の魅力の前にあっさりと降伏してしまうのでした。
　彼の残酷さはサマンサを愛しているからこそなのですが…。争いのもととなるものの、やがてふたりの絆を強くしてくれる息子マイロがたまらないほどキュートに描かれています。

砂漠の国の王子が下した驚くべき決断

　砂漠の国の王子ファルークと恋に落ちた「千一夜におぼれて」 (オリヴィア・ゲイツ／ながさわさとる) のヒロイン、カルメンは密かに彼の娘を出産します。身分の違いから結婚は決して望める立場にはありませんでした。そのため、子供の存在をファルークには隠していました。ところが、王家の血を引く娘を引き取りに突然ファルークが彼女のもとに現れます。再会した彼は以前にもましてセクシーで、カルメンはまたもや彼の言いなりになるしかすべがなくなってしまうのです。
ヒロインのシングルマザーとしてのけなげな姿に心を打たれます。そんな彼女を愛し、彼女と娘を守ろうとするファルークの勇敢な行為に、感動的なエンディングが待っているのです！

“実の娘”に対してＤＮＡ鑑定を要求する残酷な大富豪

「傷心のモナコ」 (斗田めぐみ／シャンテル・ショー) のヒロイン、フレイアはかつて大富豪のザックと愛し合い結ばれました。ところが妊娠したとたん、ザックは彼女の浮気を疑い冷たく突き放したのです。その２年後、フレイアの前に再びザックが現れ、娘エイミーのことで言い争ううち、父親が誰かＤＮＡ鑑定をすると言い出しました！
愛する人から子供のＤＮＡ鑑定を要求されるなんて、フレイアはどんなにショックだったでしょうね。でも、ザックには、そうまでして自分が父親であるはずがないと主張するだけの理由があったのです。浮気をした覚えのないフレイア、子供ができるはずがないという確信をもつザック、ではエイミーの父親はいったい誰なのでしょう!?

いくら子供のためでも、愛のない結婚なんてつらすぎる…

　「億万長者の秘密の天使」 (森素子／マクシーン・サリバン) のジェンマは億万長者テイトとひと目で恋に落ちましたが、その愛は１か月しか続きませんでした。身に覚えのない浮気を疑われて、あげく彼のペントハウスから追い出されてしまいます。妊娠に気づいたのは別れの後でした。１年後、偶然再会したテイトは、息子の存在を知って、体面のため愛のない結婚を強要してきます。深く傷ついたジェンマですが、 彼女に逆らうすべはありませんでした。
自分を憎んでいる男性と結婚しなければならないなんて、つらすぎますね。それでも子供を奪われるくらいなら、自分を犠牲にしたほうがましだと、ジェンマはつらい選択をします。ふたりの愛はいったいどうしたらよみがえるのでしょう。

無残な形で別れたふたりを結びつけたのは、愛らしい天使

　妊娠したせいで恋人に責められたら、これ以上悲しいことはないですよね。「秘密めいた再会」 (ジャクリーン・バード／山田圭子) のフィービーがまさにそうでした。妊娠した彼女に対して大富豪ジェドは、愛人に子供などいらないと言い放ち、そのためフィービーはショックで流産してしまうのです。絶望のうちに彼の前から姿を消したフィービーですが、５年後、ジェドと再会するはめに。彼とは２度と会いたくないと思っていたのは、つらい過去のせいばかりではなく、ジェドに絶対知られたくない秘密があったから…。

彼の冷たい仕打ちに打ちひしがれながらも、ジェドが魅力的すぎて、フィービーは逆らうことなどできないのです。

一度は破局してしまったふたりを、奇跡が強く結びつけてくれるストーリー、ラストは感動の嵐です！