発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか
家庭、学校、社会…「見ている世界」のちがいがわかれば、寄り添うヒントが得られる
「うちの子、もしかしたら発達障害かも…」
「動き回ってばかりで、どうしたらいいかわからない」
「学校の勉強についていけていないみたいで心配」
子どもの発達障害はデリケートなトピックです。そのため、あまりふれないほうがよいのかも…と遠回しにしてしまうことも多いかもしれません。
ですが、身近にいる発達障害の子どもたち(発達障害かもしれない子も含みます)が、どのように世界を捉え、感じているのかを理解できたとしたらどうでしょう?
これまでよりも少しだけ肩の力を抜いて、ともに日々を過ごせるようになるかもしれません。
不可解な行動、イライラしてしまう言動……それらにはすべて、理由があります。
さらにいえば、あらゆるアクションの裏側には子どもたち一人ひとりの思いが隠されているのです。
本書では、発達障害の専門医であり、現場での臨床経験も豊富な岩波明医師による、当事者目線での丁寧な解説をお読みいただけます。
代表的な発達障害として、ASD・LD・ADHDを章ごとに取り上げています。また、各章の末には実際の患者さんの事例を匿名でご紹介しています。
「こんなケースがあるんだ!」「周囲はこうやってサポートすべきなのか」「逆にこういう接し方はあまりよくないのかもしれない…」などと、たくさんの気づきが得られるでしょう。
本書を通じて、日々感じている「なんで?」「どうしてこうなる?」「イライラ」「もう大変でお手上げだ…」みなさんのそんな思いが少しでも軽くなり、明るい明日の迎える一助になれば幸いです。
※カバー画像が異なる場合があります。
はじめに
序章 周りとは少し違う子どもたち
乳児期・幼児期・児童期に、どんな言動が見られるの?
発達障害なのか?“愛着障害”なのか?
発達障害の子が学校で直面する問題
第1章 あらためて発達障害とはなにか?
「発達障害」はさまざまな疾患の総称である
知っているようで実は知らない言葉の定義
発達障害=自閉症の誤解
明確な境界線は存在しない
子どもの発達障害は、増えているのか?
第2章 ASDの子どもたちは世界をこう見ている
ASDの子どもたちが「家」で見ている世界
こだわりと感覚過敏
気持ちを理解することの難しさ「サリーとアンの課題」
ASDが抱える「心の理論」の問題
「同一性」を保持したいという思い
「事前の説明、事前の了解」はとても重要
ASDの子どもたちが「学校」で見ている世界
みんなと一緒にやる行動は、苦手で嫌い
団の中で自分の持ち分や役割を察知するのが苦手
場の空気を読むのが苦手 ほか
第3章 LDの子どもたちは世界をこう見ている
LDの子どもたちが「家」で見ている世界
LDの多くは読字障害である
どんなふうに世界を見ている? 感じている?
LDは見極めが困難な障害
親のしつけや育て方が原因ではなく、子どものやる気や努力の問題でもない
子どもの障害の状況を正しく理解し、周囲と連携したサポートを行う
LDの子どもたちが「学校」で見ている世界
「やる気不足」「努力不足」と決めつけないで
国語と算数でLDの子どもたちが抱える問題 ほか
第4章 ADHDの子どもたちは世界をこう見ている
ADHDの子どもたちが「家」で見ている世界
敏感さ、動きが多い、睡眠時間が短い、よく泣きわめく
一度指摘したら後は見守り、投薬治療も検討する
もしも子どもの頃に障害に気づけていれば……
ADHDの子どもたちが「学校」で見ている世界
ADHDのお子さんの小中学校時代の通知表
着席できず、しゃべり続けることで集団生活になじめない ほか
終章 子どもの発達障害にはこんな取り柄や強みがある
「特性」を受け入れ、活かし、どう生きていくのか?
先人たちをモデルケースに考えてみる
おわりに
「発達障害」という概念とどう向き合っていくべきか?
「発達障害」という言葉の定義は広い
時代によって疾患の考え方や定義は変わる ほか
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(C) Akira Iwanami 2023
出版日:2023/11/06