評価に魅かれて買ってしまったけど、いくら何でも28年後の再会は興ざめだわ!良かった点は、何といってもヒロインが幸せだったこと。こういう便宜結婚だと、暴力夫、ゲイ夫、色々我慢の人生になるところ、とても優しく嫌味ひとつ言わない素敵な旦那さんでしたね。5-6年で再会したらありきたりなハーレだけど、戻って再会する意味ないんじゃない?ヒロインと夫のハーレでも良かったのに。存在感無しの男でヒーロー不在作品。

原作の中で一番のお気に入りは、ヒーローが息子の成長記録を一人で見る所でした。でもコミックでは何故か二人で見ている。ロンドンの屋敷の一室でただ一人アルバムをめくりながら、自身の傲慢さゆえに失ったものを後悔する場面が秀逸でした。ヒロインからの手紙の件も、「別れないで…」の類と思い握りつぶして暖炉に投げ込んで無視したんです。ハーレの定番「何で知らせなかった?」も多少あるんだけど、アルバムの中身はいずれヒーローに見せるのを前提に作られていて、時期が来たら知らせるつもりなのが見て取れるんです。10年は長いけど、無駄にした感が無かったんですよね。長い年月を経て、自己責任・自己決断で、慣習や体裁にとらわれず血の通った生身の人間として生きられるようになったヒーローという所ですかね。ただコミックではそこまで解らないのでご注意を。

愛人囲っていても秘密。メイジーメイジーと言っておせっかいしていても秘密。ヒロインに対しては、恋している人が居る、借金返せ、子供を産め、結婚しないと親父を訴えるしか言っていないんだから、信じろと要求する方が無理でしょ? ご立派な事しているのは確かだけど、傍から見ればヒロインと同じ意見だと思うよ。全部秘密なんだから。

さよく鬼畜と言うけれど、バカだから結果として鬼畜行動というのが定番だと思うんです。でも本当のバカな部分は原作から省いています。会議の後父親に会ってろくでなしにモロだまされて、ヒロインに鬼畜暴言の数々。母を裏切り悪徳弁護士と憎みながらもだまされて、ヒロインをののしって追い出す。ここ一番重要じゃない?自分だけが正しく父とコンテッサは被害者と思い込み、しばらく経ってパオロの旧友に真実を知らされるまでほったらかしですから。それが無ければどうなっていたか?この作者にしては、スペイン語の盗み聞きにページを取り過ぎて、いい場面を逃がしたように思うんですけど。心身ともに親しくなったヒロインより、憎み軽蔑している父を信じて自滅するオバカ部分があれば存在感は増したでしょう?

原作読んだ感想は、ヒロインを虐待するヒーローに辟易。元は携帯電話を川に捨てて連絡不能のしたのはヒーローだし、救急車で搬送されて麻酔で手術のヒロインには不可抗力。その間愛人持ちで修道士でもないくせに偉そうに。、豊満な愛人のガウンをヒロインに着せたり、レイプ被害者の様に 怯えるヒロインを脅す歪んだヒーローは最低で、「氏より育ち」 はあるんだなと思った作品。全てはヒーローの卑屈さと逆恨みと狭量さが招いた不幸なのに。

誰が読んでもストーリーしかわからない。時系列の問題に加え、人間関係の虚飾。ラザロがどうこうでなく、ヒーローの目的とヒロインの影の目的を隠したまま魅かれていく展開なのに、ヒーローには意味不明な行動をとらせるし、二人の関係の進展はたったの一ページです。親密になった後にカタリーナと寝室にいる二人を見て絶望するヒロインと、弟にヒロイン妹の写真を見せられて心を閉ざすヒーロー。裁判の召喚で再開するのは、一夜の関係から妊娠したお腹が目立つ程になってからだし、大学助手と知るのも裁判の時です。ごちゃごちゃしているだけの作品で損した気分です。

原作でも別居状態から始まり、もうそろそろ仲直りをと思い、祖父のお祝いを機にヒーローが戻ってきます。でも戻る理由が違い過ぎる。秘密に不妊手術をしていて、妊娠したヒロインを疑ったために階段転落で流産。その後一度検査するが結果は不明か不可能だったが、最近もう一度検査したら妊娠可能と出たので帰国。ここが違っていちゃ話にならない。

ヒロインが復讐する場合は、ほとんどが勘違いか親を美化しすぎが多く、ヒーローが復讐する場合は、親の罪をヒロインにが多い。でもこれは本当に犯罪でしたね。悩んで落ち込んでお金寄付して、でも犯罪歴は隠し快楽は享受。ヒロインがバージンでないのをチクチク言うけど、人殺しが何を言うかと怒りを感じた。重苦しい表情をしていれば、許されるみたいな作風にも疑問です。ある意味、殺さないとお前を撃つぞと脅されて、バンバン撃ちまくっていたのを、義父の死をきっかけに改名して人生リセット。甘すぎるよ。

婚約者が居ながらヒロインを口説き、漫然と婚約状態のまま、ヒロインをイタリアに連れてきてとしか読み取れない。ヒロインもおどおどした表情の割にハッキリ言うし、作者がヒーローの考えを代弁しているので、多少胸のすく思いはする。どんなに謝っても許されない事はあるよね。疑った時や再会した時、子供の存在とプロポーズ。どれも許されざる暴言と疑りの数々。ヒロインの辛酸を思うと百回くらいぶん殴ってもいいんじゃない?

あのビデオでは当然の結果ですが、それでも問題になるのは、信頼。愛して結婚しようという相手が、誤解だといっても無視するのは、その程度の感情しか無いからです。読んでいて涙が出たし、ヒーローもボロボロ泣いた。「痛かったろうか?苦しかったろうか?」と、我が子への思いに泣き、どんな気持ちでベビー服の店をやっているのだろうか?と、ヒロインの心を想像して泣きます。でも私が泣いたのは、生きられないとわかっても中絶を選ばず、生きられない子の為に、つわりにも陣痛にも耐えたヒロインの切なさです。わずか数時間でも生きて母に抱かれ、きちんと埋葬した事は、中絶より母子両方に良かったかなと思いました。これ程の壮絶な事実を前にすると、生死の瞬間に父親は行きずりの女性と楽しんでいようと、ナンパに励んでいようとどうでもよくなってしまいました。

評価通り優れた作品ではある。でも、あの映像を見た後ではこのヒーローの妻は務まらない。神々しいまでに美化された思い出だけでも最悪なのに、映像まで残っていたらどうなる?私なら精神をむしばまれそう!いい作品として認めるのと、感情移入できて共感するのとは別物。読んでいて苦しかった、前妻の影があまりにも大きい。

ヒストリカルだし、コミカルに描かれているので気楽に読んでいるけど、夫が自殺したのもその後息子が死んだのも、ヒーローの大罪でしょ?　部下を大勢死なせたと信じ切って、裁判の原告として断罪していたのはヒーローなんだから。未だに犯人と思い込み夫をバカにしきっているし、その結果息子まで死ぬはめになったのに浮かばれない。死んだ夫と息子の無念はどうするんだヒロインよ!　原作は知らないんだか、コミカルに描かれていなければ、とても読めたもんじゃない。

原因は六年間の蒸発。夫の家族の言葉は何?「やり直し」じゃなく「お前らの弟が戻ってきただけだ」。今になって子供が持てない体になったけど、六年前からなら三人くらい居たはずなのに、反省が足りない。ペントハウスより妻を捜すのが先だし、仕事の目鼻が付いたら戻るべきだった。こんな身勝手な男は、失踪による婚姻無効にしたら良かったのに。