えっと、マリッジブルーでほかの男と逢引きして、駆け引きのつもりで逃げ出したけど本命こなかったのでとりあえず下心丸出しの手近な男を捉えて、ダメなら次の男に乗り換えて、最後純情なふりして大本命の優しさに漬け込んでモノにしたアバズレの話ってことでOKですかね。

ヒロインを最後まで好きになれなかった。「昔高飛車だった綺麗系ヒロインが落ちぶれ、現在地道に頑張ってる」みたいな話、結構好きなんだけど、なぜこのヒロインには嫌悪感を抱くのか考えてみた。1.ヒーローとの圧倒的な立場と経済格差。子どもを救ってもらい、住居も仕事も与えられて、初恋のイケメンゲット。ヒロインが享受した幸福は、ヒーローへの労働と愛情に釣り合っていないように感じてしまった。愛は金銭に換算できないものだけどさ。2.ヒーローとの別れとその後の行動に納得できないこと。結婚が不安なら一定の婚約期間を設けるなどできたはず。しかもまだヒーローが好きなのに他の相手とすぐ結婚するとか意味が分からん。最後の結婚の申し出を断るのも定番だけど、あんなに好意があからさまなヒーローだよ。都合のいい女呼ばわりでなくもっと熱烈に懇願されたい感がにじみ出てて、あなたそーいうの希望できる立場じゃないから、と思ってしまった。とはいえ、高井みお先生の絵は今回もとても素敵でしたけど。

ハーレクインは若気の至りで失敗してしまい、そこから数年経って大人になったヒーローとヒロインが再会して結ばれるお話が多いですが、実際しょうもない男に引っかかってシングルマザーになり貧困にあえぐ人が多いから需要があるのでしょう（日本よりもその傾向強そう）。自分も歳をとったせいか10代のバカさ加減に寛容になってきましたw ヒロインのやったことは軽率でしたが、20歳で家庭に入り育児に追われる生活なんて当時の私でも考えられなかったと思うので、プロポーズされて喜ぶと同時に不安になった気持ちが理解できます。一方ヒーローも昔はまだ青くて、自分の価値観を押し付けたり、出世目的で結婚して失敗するなど高い勉強代を払い大人になったことが伺えます。もし若いうちに結婚したらすぐに破綻しただろうけど、時間をかけて思慮深さを備えた2人ならば今度はうまく行くだろうと想像できるところがいいです。2人の子供もいい味出してます。現実にはこんなうまい話はないでしょうし、他の方が指摘されるように確かにご都合主義なんですが、せめて物語の中だけでも幸せになりたいよね（コミカライズがよくできているから夢を見ることができるとも言える）と思いました。個人的にこっちの方がご都合主義だと思ったのは、ヒーローとヒロインが病院で主治医と患児の母（しかも比較的レアな小児の心臓外科）として再会したところ。そんなピンポイントな関係性で再会するかーいと突っ込んでしまいましたw

前半はヒロインの辛い現状がこれでもか〜と押し寄せてきたけど、ヒーローが救いの手を差し伸べてくれてからはヒロイン自身もキラキラ輝いてきて、そうそうこれがハーレの世界よ〜とハッピーエンド一直線！　胸キュンしながら、さらに子供たちの未来のロマンスを勝手に想像しながらニヤニヤ出来る作品でした♪

私には純愛ファンタジーだけど割りとリアル、って感じで良かったです。17歳という人生にも愛にも夢を持ってる女の子が、結婚に不安を感じるのもわかるし、その後どうでもよくなっちゃって、自分を追いかけてきてくれる男の子の方がいいのかなあ・・となっちゃうのも在り得ること。その失敗の延長で、またロクデナシを選んでしまうのもね。そこから夢ある初恋話、素敵じゃないですか～。高井さんの綺麗でやさしげな雰囲気の画が、それを盛り立ててくれる。ま、一番goodだったのは、何といっても子供たちだけど♪