ロマンティックで素敵でした。登場人物が皆幸せになるラストで安心して読めます。ヒロインのことを「かわいい」「かわいすぎる」と心の中でつぶやくヒーローも、とってもかわいかった！

人生の修復の可能性と希望を感じられた作品でした。贖罪の人生を送ってきたヒロイン。「…寂しいね」と悲しみを姉の忘れ形見と共有するヒーロー。各々が抱えていた痛みが、３者がめぐり逢うことで大きな喜びに変えられたラストがとても良かったです。

あまりにも大きなトラウマを抱えていたヒーロー。それらを実直にヒロインに告白し、ヒロインがそれを真剣に受けとめて一つずつハードルを乗り越えていく過程が丁寧に描かれていました。「傷ついてなおやさしい人」とヒーローの本質を理解し信じるヒロインが健気で美しく、応援しながら読んでいました。それだけに、ラスト近くの二人の心が重なった場面とヒーローが赤ちゃんを抱っこしてうたた寝している場面は、読み返す度にジーンときます。

主人公だけでなく、二人を取り巻く人々のストーリーも絡ませて「人間として大切なこと」を真正面から問いかけている作品です。小さな町。短い滞在期間。凝縮された中に沢山の愛とやさしさが詰まっていました。旅が終わり、自分の心をとり戻したヒーローの頬を流れる一滴の涙…私の涙腺も一気に崩れました。