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- 夢物語のようでとても身近な二人 5
- グラハム 2022/03/01 このレビューを 6人の方が参考にしています。
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大富豪の友人の計画(?)に乗り、無人島での二週間を過ごすことになったヒーローとヒロイン。恵まれた環境で育ちながらも、本当に欲しいものは手にできないまま大人になった二人。それは自分のアイデンティティの確立だったり、家族からの惜しみ無い愛情だったり、私たちにも通じるリアルな枯渇感なのです。最初はお互いの心の動きが判らずスレ違い続けますが、苦楽を共にするうちに気付き始めるのは相手への気持ちではなく、自分が本当に求めているもの何なのか、という事なのです。最高に幸せになって欲しい二人は夢物語の住人ではなく、とても身近な存在なのだと感じられます。実はとても壮大で重苦しいテーマを、美しく心地よい表現で読ませて下さる津谷先生の力量に感服します!
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- 赦しと救済の物語 5
- グラハム 2022/02/07 このレビューを 19人の方が参考にしています。
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発売日に雑誌を手にした日から、何度読み返したか判りません。誰にも真実を語れない過去を一人背負うヒーローと、不安を抱えながらも明るさを損なわないヒロイン。愛らしい子供たちや彼らの周囲を取り巻く人々全てが瑞々しく描かれていて、清廉な魅力に満ちています。心と身体の痛みを打ち明ける勇気と、それを受け止めて癒す強さ。この物語の主人公二人はとても強い意思を持ち、長い間苦しみを乗り越えてきたからこその優しさに溢れていると感じられます。闘病中の患者の気持ちに伊藤先生が優しく寄り添って下さっている事も伝わってきて、また涙。ヒロインの覚悟に自分の思いを重ねてしまい、奇跡を願わずにはいられませんでした。最後のヒーローの正装姿には目が釘付け!そして読了後には暖かい心地良さが胸に広がっていくのです。美しく尊い作品に、心からの称賛を送りたいです。
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- 『脅迫』どころではなく 5
- グラハム 2022/01/28 このレビューを 12人の方が参考にしています。
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不穏なタイトルの通りヒロインはヒーローに脅迫されるばかりでなく、パーティー会場から(騙されて)誘拐されてしまいます。オープニングからジェットコースターに乗ったように物語は進み、ヒーローの過去やそれに纏わる復讐計画が徐々に明らかになるのですが、既に便宜的な婚約者のいたヒロインは2ヶ月前に出逢ったヒーローを夢にみる程惹かれていて。ヒーローもヒロインも、何が起きようと常に冷静であろうとする姿がかえって痛々しく感じられました。息苦しい現実を抱えながらも前を向き生きるヒロインと、残酷な執念深さと優しい配慮という矛盾に満ちたヒーローがとても魅力的に描かれているのは、やはり七星先生の表現力の巧みさがあればこそだと思います。絡まりあった糸をほどく手立ては、やはり信頼と愛情。始めの展開に???となっても、読み進めていくうちに全て受け入れることができます。これはもしやシリーズでは?と思える場面もあり、新たな展開も楽しみです!
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- ストレスフリー 5
- グラハム 2022/01/18 このレビューを 20人の方が参考にしています。
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『まぼろしのローマ』のラストに登場した人物が、今作のヒーロー。同じくヒロインも前作に名前だけ登場していました。ヒロインは、己の運命を受け入れる慎み深さがありながらも自由への憧れを捨てきれない気品ある女性。ヒーローは想像以上に過酷な過去を持ち、未だ残る痛みと苦しみから逃れられずにいます。そんな中にあっても、他者を思いやる心と、しなやかな強さを併せ持つヒロインとの出逢いを通じて、本来の自分を取り戻していくヒーローの姿がとても自然で胸に迫ります。互いを知り心惹かれる存在だと認めたヒーローが、揺るぎない信頼と愛情をを示す場面は感動的!妻と国への献身を覚悟したヒーローは、間違いなく最高の国王になる筈です。流石の小林先生。ストレスフリーで最後まで読み進める事ができました!
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- 躍動感溢れるヒストリカル 5
- グラハム 2022/01/10 このレビューを 17人の方が参考にしています。
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いったい何が?と不安を掻き立てられる導入部から始まり、物語は絡んだ糸を解したり結び直したりを繰り返しながら進んでいきます。うるわしの女神との運命的な再会を果たしたヒーローは、その衣装も立ち姿も眩い程に美しい!ヒロインのヘアスタイルやドレスは何れも優雅。登場人物の描き分けが素晴らしく、これは誰?という混乱もきたしませんし、小賢しい悪役ですら魅力的に描かれています。繰り返しヒロインへの思いを告げる真摯なヒーローを心の底から応援したくなる、甘くて骨太な物語です。
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- 内なる光 5
- グラハム 2022/01/06 このレビューを 19人の方が参考にしています。
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待ちわびていた松尾しより先生の新作!もうそれだけでも胸が高鳴りますが、読み終えた後の感動はそれ以上のものでした。愛情溢れるヒロインと愛を嗤うヒーロー。その対比の中で明らかになる壮絶なヒーローの漆黒の過去でさえ、ヒロインの掲げる内なる光が美しく塗り替えていく。命のやり取りをする程の状況であっても、ヒロインを庇うヒーローの姿には思わず声が出ました。まさに、愛情というギフトが巡り巡って二人に届けられたのだと信じられる場面です。精密で荘厳な城の様子も、二人の周囲を取り巻く登場人物たちも。丁寧な描写が胸に迫りました。与え合う愛情の素晴らしさに気付く事が幸せに繋がる、繊細で優しい物語。お勧めです!
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- 心暖まる大人のお伽話 5
- グラハム 2021/12/13 このレビューを 14人の方が参考にしています。
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桐坂先生の描かれるヒーローは目元がとてもセクシーで上品♡今作のヒーローも同じく『夜の王子』の二つ名に相応しい出で立ちでした。辛い子供時代を過ごしたヒロインは思慮深く、心に高く分厚い壁を築いていますが、苦労した分優しさと配慮に満ちています。ハーレにありがちな契約結婚でスタートする物語なのに、ヒーローとヒロインの心の距離が近付いていく様子がとても自然に描かれていて思わず応援したくなります。ヒーローの抱える本当の孤独に気付いたヒロイン。ヒロインの勇気ある言葉と行動に力を添えるヒーローが意地悪な人たちを排除してくれるので、スカッとできます♪そんな二人が本心に従い、相手を尊重する気持ちを国民の前で披露する姿に感激しました。ヒロインの大切な宝箱を開け、二人で何度もその中身を取り出して眺める未来が見えるようです。なんて幸せなお伽話♡
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- 見事な構成力! 5
- グラハム 2021/12/09 このレビューを 3人の方が参考にしています。
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前作『仰せのままにキスを』のヒーローとヒロインの結婚式から、この物語は始まります。その場面がこの作品のスタートでもありゴールでもある。時系列が複雑に絡み合いますが、戸惑うことなく読み進める事ができます。これは作者様の力量でしょう。お互い口には出来なかったけれど、ずっと惹かれ合って来た二人。特にヒーローの胸にある責任感がヒロインとの恋を阻止していましたが、その堤防はある日一気に崩れるのです。誤解も行き違いも無い、ただ少しばかり不器用な大人二人の恋物語。最後には長年心の中にあったヒロインの夢が叶って、本当に嬉しい!すっきりとした印象の絵も、大人なこの作品を際立たせていると思います。
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- 愛されまくりの末っ子二人♡ 5
- グラハム 2021/12/09 このレビューを 3人の方が参考にしています。
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事情があり、二人姉妹は三人兄弟の家で育ちます。母親から「大切なお嬢様二人を護る」ことを言い渡され、三人兄弟(特に真中の兄)はその責任を果たそうと必死です。幼い頃から惹かれ合うそれぞれの末っ子を何とか引き離そうと周囲は画策してきたというのに、運命には抗えない!ヒーローもヒロインもそれぞれに兄たちや姉に深く愛され、大事にされている様子が微笑ましい。ふとした行き違いも、最後は家族の協力でちゃんと元通りになったのですから、まさにこれは末っ子二人の愛され物語。続編『シンデレラと秘密の一夜』への伏線もあちこちに。続けてお読みになる事をお勧めします!!
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- 甘い香りのクリスマス 5
- グラハム 2021/12/09 このレビューを 17人の方が参考にしています。
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丁寧に彩られた、優しさと愛情に満ちたクリスマスの物語。出逢いも、一度肌を重ねた後の説明し難いすれ違いも、そして再会も。惹かれ合うヒーローとヒロインの一途さが切なくて。困難や苦しみをヒーローよりも少しだけ先に乗り越えたヒロインは様々な現実を受け入れる心のゆとりがあったのかもしれません。それでもその足元はどうしても不安定で、危機的状況に陥ったとしてもヒーローへの思いを封じる道を選んでしまう心境もよく判ります。ヒーローの背負う暗闇は決して軽やかなものではなく、その過去を思い出させるトリガーがヒロインを子供の頃から支えて来たものと同じとは、何という運命のいたずらでしょう。ようやく自分の心が求めるものは何かという事に二人は同時に気付いて、クリスマスの街で永遠を誓うのです。決して派手な物語ではないと思いますが、その分リアリティーがあって胸に沁みます。読み進めるうちに甘い香りが漂ってくる、そんな素晴らしい作品です!
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- 不思議な引力 5
- グラハム 2021/12/07 このレビューを 14人の方が参考にしています。
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椿野先生の作品はいずれも感動的だと思っておりますが、今作は何故か最初から最後まで涙が止まりませんでした。出だしの数ページを読めば、ハーレクインにありがちな内容になるのだろうという事は容易く想像できますし、その通りに物語は進んで行くのです。でも、その物語の進み方に全く無理がありません。ヒーローにもヒロインにも、がっつり感情移入できますし、それがピリッとスパイスの効いた痛みも伴う甘さに上手に溶け合っているのです。過去の自分と寄り添いながら、こんなにも素直に涙を流せるヒーローを品よく美しく描けるのも、そんな彼を大きく温かい愛情で包み込みながらも心に葛藤を持つヒロインをしなやかな女性に描き切る事ができるのも、全ては椿野先生の力量だと感心ばかり。冷えきった心とからだを温めてくれる、珠玉の一作だと思います。是非、ご一読を!
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- やっぱり素敵♡ 5
- グラハム 2021/12/02 このレビューを 5人の方が参考にしています。
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前作『花嫁は金の鳥籠に囚われ』にも少しだけ登場していた弟、サノスの物語です。ハーレクインではよくある契約結婚ですが、やはり素敵だなぁと思わせてくれます。貧乏な暮らしを強いられていたヒロインがヒーローとの結婚を決めたくだりは既視感があるものの、ヒーローへの愛をベッドの横で涙ながらに伝えるシーンは胸を突かれました。複雑な生まれであるヒーローの苦悩は、大事なものを失ったと気付いた時にやっと解れていくのです。確かにありがちな物語かもしれませんが連作として捉えた時にその背景がより色濃くなり、魅力は何倍にも感じられます。深紅の薔薇をどっさり用意したヒーローの少しばかり不器用なプロポーズは、ヒロインの悲しい思い出をすっかり塗り替えてくれました。不幸を背負い苦しんできた兄弟たちが揃って幸せを掴めたのも、辛抱強く愛情を信じ続けたヒロインたちのおかげですね♡是非、二作とも大事に読んで行きたいと思う作品でした!
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- 色気が駄々洩れ~ 5
- グラハム 2021/12/02 このレビューを 10人の方が参考にしています。
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何と言ってもヒーローの色気が半端ないです!ヒロインの初恋の相手であるヒーローには、五年ぶりの再会を果たしたヒロインに対して拭いきれない疑惑があります。その疑惑に、ヒーロー自身も苦しむ姿が新鮮でした。許しがたい事件を乗り越えたヒロインが再び嵐に巻き込まれた時には、ヒーローが全力でヒロインを護るのです。その潔い必死さがかっこよすぎる!ヒロインは努力を重ね立ち直り、仕事でも成功を収めた美しい女性です。ジュエリーデザイナーという事だけあって着ているお洋服も全て凛としているのですが、物語の中でヒロインが「自分が着飾るのは男性に媚びる為ではなく自分の脚で歩いていく為、自分の為に装っている」と語るシーンは、決して大きなコマではないのに強いインパクトがありました。彼女を支える周囲の友人も心強い存在です。ようやくの結婚式で、ポケットに片手を突っ込み立っているヒーローの姿がどこか照れているように見えてとても魅力的でした。ヒーローのウェーブのかかった黒髪がとんでもなくセクシーで、この物語に華を添えていると感じました。読み終えた時の充実感は、☆五つだと思います!
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- 優しさと強さで出来た物語 5
- グラハム 2021/11/17 このレビューを 5人の方が参考にしています。
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自分の幸福の為でなく、他者の平和を護るために力を尽くそうとするヒーローとヒロイン。再会の時に抱いていたほんのりとした感情がどんどん濃く、熱くなっていく様子がとても自然です。それぞれに抱く苦しい過去を知り、寄り添おうとする姿に深い愛情を感じました。ヒロインの幼い弟に注がれるヒーローの親愛の情も素晴らしく、酷く苦しい状況に陥ったヒロインを出迎えた弟とヒーローの抱擁には、何度も何度も泣かされました。数ある高倉先生の名作の中でも、私にとっては特別に感じられる素晴らしい作品です。
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- 乙女心が擽られる~! 5
- グラハム 2021/11/17 このレビューを 4人の方が参考にしています。
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ページをめくるたび、そうそう!こんな気持ちだった!と、青春の頃の切ない片思いを思い出せる物語♡ヒロインは、本来の自分を押し隠してでも不運続きのヒーローを救いたいと考え実行に移します。そんなヒロインの過去に纏わる件でヒーローは新たな事件に巻き込まれてしまいますが、二人はどうにか危機から脱出。その後も用心の為にある作戦を実行し続け、ついにはお互いの本当の心を知るのです。ヒロイン家族の温かさもさることながら、ヒーローの苦悩を和らげてくれた周囲への感謝を改めて知るという展開もとても自然で、読んでいて心が温かくなりました。最後のオチも、ちょっと気になりつつもどこかほんわか(?)出来ました。
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- 心が溶ける物語 5
- グラハム 2021/11/17 このレビューを 5人の方が参考にしています。
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出逢いも、結婚した時でさえ互いへの思いに行き違いを感じていたヒーローとヒロイン。ヒロインは馬だけでなく人の心さえも癒す能力を持ち、ヒーローとその母親の胸の内にある不穏な感情にも心を寄せます。ヒロインの核心を突くような言動に戸惑ったヒーローも、遂には自らの心の内側を見詰める事が出来るようになるのです。そんな中、ヒーローが再び命を狙われ、背後に蠢く陰謀の正体も明らかに……!登場の時は幼く見えたヒロインが、どんどん大人びて見えてくるのは作画の力だと思うのです。シニカルなヒーローが素直に自分の心を見詰めるまでの葛藤は息苦しくもありますが、最後には清々しく力強い姿を見せてくれます。安心して読めるヒストリカル。読後感は最高です!
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- 苦しみの後の大きな幸せ♡ 5
- グラハム 2021/11/17 このレビューを 14人の方が参考にしています。
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或る意味、タイトルが後半に繋がる大きなネタバレになっている作品だと思います。まるで兄妹のように幼い頃から親しかったヒーローとヒロイン。それぞれに胸に秘する思いを誤魔化しながら新たな目標を打ち立て、別々の人生を歩もうとします。そんな中、騙し討ちのような事件をきっかけに結婚をした二人に訪れた思いがけない変化。そこでヒロインは大きな決断を迫られますが、どうしても一歩踏み出す事ができません。ヒロインの苦悩を知ったヒーローの愛情あふれる言動には、読者も心を揺すぶられる事でしょう。愛情をもって結ばれた幸運な二人……というシンプルなお話ではなく、悩みに押しつぶされそうになりながら立ち止まり、身動きが取れなかった時の苦しみを分かち合えた末のハッピーエンドだと感じました。美しい絵と表現の緻密さ、潔いほどに思いやりに溢れたヒーローとヒロインに心打たれる物語。とても読み応えがあります!
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- ヒロインが魅力的! 5
- グラハム 2021/11/02 このレビューを 2人の方が参考にしています。
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こちらは三兄弟のシリーズものです。今作でもキーパーソとなる不遜な父親の下、ヒーローは愛情と信頼に深く関わる事無く育ちます。成長したヒーローはひたすら真面目に仕事に取り組み、自分のアシスタントにも高い能力と結果を求め厳しい態度を取るのです。共に働くヒロインは期待以上の働きを見せながらも、自分を凌駕する程に過酷な仕事を熟し続けているヒーローの身体を気遣います。そんな自立したヒロインへの思いを認め、直ぐに自発的な行動を起こしたヒーローには感心したのですが……どうしても乗り越えられない疑惑に阻まれ、一度は別れた二人。復縁後も恋愛に対して絶対的な自信の持てないヒーローにヒロインは苦悩する場面もありますが、根底には互いを思いやる深い愛情があるという安心感を持って読み進める事が出来ました。ちゃんと父親は『裁き』を受けますし、常に物事に真摯に向き合うヒロインが何よりも魅力的な物語だと思います。体調を崩したヒロインの為に、あれもこれもと買い物をしてきたヒーローの姿が一番可愛らしかったです♡
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- 天鵞絨のような物語 5
- グラハム 2021/11/01 このレビューを 5人の方が参考にしています。
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タイトルロールである『美貌の騎士』様の活躍に胸が躍りました。美しく強いだけでなく良い香りまでするヒーロー。万能のように見えて、実は自分自身の行動に苦悩を抱えています。真正直で純粋なヒロインも魅力的で、いやいやながらも着飾ったドレスの袖口の刺繍にも品格がありました。それぞれの衣装や装身具の肌触りの感触までが手に取るように伝わってきますし、武具の重みやそれが風を切る音さえも聞こえてきそうです。互いの本当の姿を知るまでにすれ違いもありますが、最後に得たのは最高の愛情と信頼。特にラスト近くにヒロインが弓を射るシーンは力強く、本当に見応えがありました。馬を駆るヒーローの筋肉の動きも綿密に伝わってきて、とても重厚な映画を見終えたように感じます。まるで時間旅行にでかけたような一編。お薦めです!
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- ファンタジーでなく 5
- グラハム 2021/11/01 このレビューを 6人の方が参考にしています。
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或る意味ハーレクインらしくないのかもしれませんが、このヒロインが『今』を真剣に生きている姿にリアリティを感じました。確かに最初はあれ?と思える展開もあったのですが、読み進めていくうちにヒロインの大胆な行動の裏側にある繊細な気持ちが切ないほどに伝わって来て胸を突かれました。ヒーローも所謂傲慢なタイプとは一線を画し、綿密に策略を巡らす冷静な『できる実業家』という印象を当初は強く持ちました。ですがそれも、物語が進行するにつれサラッと裏切られます。実はヒーローはとても情熱的で、感情豊かな人物なのです。物語の後半、「一歩前進だ」と頬を染め語るヒーローにしてやられましたた♡相手の心の内側を探る中でも、一貫して二人はお互いの清廉さを信じています。その状況がとても心地よく、二人が幸福な時間を取り戻した時には心の中で拍手喝采でした!ラストページの二人の笑顔が全て。まさにここに辿り着く為の『別居』だったのです。
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- 安心して読める大人の恋物語 5
- グラハム 2021/10/21 このレビューを 21人の方が参考にしています。
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誰一人として悪人の登場しない、滑らかな絹のように穏やかな物語でした。全てに満ち足りているように見えるのに、心の奥底に秘めた抑圧的な感情に翻弄されるヒーロー。温かい家族の中に居ても、どうしても孤独を感じてしまうヒロイン。二人が過ごした二週間の夏の日々は、それぞれの人生を大きく変えます。ヒーローが亡き妻を思い出しながらヒロインを初めて抱く時の描写がとても表現豊かで、素直に心に沁みました。この夜の二人には強がりも詭弁もなく、迷いさえないのです。二人の女性を同時に比べるような事は憚られるように思いますが、実のところ、ヒロインも同じように前の恋人とヒーローを比べてる。しかもそれをお互いに告白しても何の嫌味も疑惑も生まれない。その様子がとても自然に感じられました。白衣という鎧を脱いだヒーローの清々しい決意の心の独白には涙が零れました。きっと、必ず。生まれ変わった彼女とどこかですれ違える筈です。じっくりと読み返したい、素晴らしい物語でした。
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- 流石の展開! 5
- グラハム 2021/10/04 このレビューを 23人の方が参考にしています。
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原作未読ですが、きっともっと厳しい内容なのだろうと想像できます。ところが、萩丸先生の手にかかればあら不思議。前半から中盤にかけてはアレな感じのタレ目がセクシーな人の話を聞かない傲慢ヒーローなのに、ラストに向かう怒涛の展開はお見事!としか言い様がありません。思いやり溢れるヒロインへの、ヒーローの隠しきれない気配りと怒涛の告白がこれでもか!と詰め込まれています。更に最後のヒロインのモノローグが最高で、本当の意味でスッキリする事が出来るのです。途中までのもやもやなんて忘れてしまう。そんな素晴らしいエンディングは必見です!
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- 過去を見据えて 5
- グラハム 2021/10/04 このレビューを 4人の方が参考にしています。
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ヒーローにもヒロインにもそれぞれに愛にまつわる息苦しい程の過去の経緯があり、心から真剣に向き合う事ができないまま六年前に別れを迎えました。再会のきっかけは共通の友人から一時的に預かった可愛らしいベビー。二人で協力して子育てをする中で、少しずつ自分の内面を客観的に見詰める事が出来るようになります。その過程がとてもリアルで、どうしても一歩が踏み出せない臆病な部分も含めて、人間味あふれる主人公たちでした。ヒーローのほくろはセクシーですし、ヒロインの真直ぐに伸びた背中は凛としていて魅力的です。離れていた六年の間にも、真摯に生きてきた二人。長い回り道をしてしまいましたが、幸せな選択が出来て本当に良かった!
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- 面白い! 5
- グラハム 2021/09/28 このレビューを 6人の方が参考にしています。
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絵柄も含めてとても大人っぽく、そしてリアリティのある作品だと思いました。お互いオフィシャルな面でしか相手を知らなかったのに、ヒーローの知人のベビーを預かる事から急に二人を取り巻く環境が変わります。ヒロインはとてもクレバーで慎み深く、己の立場をニュートラルに受け止める事が出来る魅力的な人物。ヒーローは出自も素晴らしく冷静で優秀な投資家ですが、それ以上にプライベートで見せる優しさや細やかな配慮に心惹かれます。共に暮らす中でどんどん惹かれ合っていく二人が本当に愛らしくて、ずっと応援したくなります。読後感も素晴らしい!こちらが初めてのハーレ作品との事。次回作もとても楽しみです♡
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- ドラマティック! 5
- グラハム 2021/07/23 このレビューを 7人の方が参考にしています。
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思いがけない出逢いから、最初はいがみあう二人。少しずつ心の距離が縮まる中で、ヒーローに本当の事を言えずにいるヒロインの辛さもたっぷりと伝わってきます。やっと心が通じたと思った直後、全てを知ったヒーローは怒り苦悩しますが、最後まで紳士然としていて素敵でした。小さなコマなのですが、図書館でヒロインに近づくヒーローの足元がアップになる場面があり、その、如何にも質の良さそうなソックスに目が釘付けになりました♡今回が初ハーレという中澤先生の、とても美しくゴージャスな絵柄と見事な構成にうっとりです。次回作にも期待しています。余談ですが、常に二人の心をお見通しだったヒーローの大おば様は、私の将来の憧れの姿です!
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- 最後の言葉に 5
- グラハム 2021/07/23 このレビューを 14人の方が参考にしています。
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疾走する物語の中に複雑な事情が絡んでいますが、登場人物それぞれの立場を明確に際立たせて語られているので混乱はしません。これは構成の妙ですね!ヒーローヒロイン共に愛情深く、それ故にそれぞれの思いがぶつかる場面もありながら、真直ぐでぶれない二人の感情はやがてお互いの心を見事に射抜くのです。思いやり溢れる家族の存在がとても優しく描かれていて(不心得者が若干一名おりますが)、心穏やかに読み進める事が出来ました。最後、今は亡き産みの母親に対して語るヒーローの感謝の言葉に涙が零れました。何度も読み返したくなる、素敵な物語です。
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- 運命の二人 5
- グラハム 2021/07/23 このレビューを 8人の方が参考にしています。
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今から百年前の英国。20世紀初頭の雰囲気が、登場人物の服装や生活の背景に見事に反映されていて、すんなりと物語の中に入り込むことが出来ます。冒頭の船出のシーンから心を掴まれ、ヒロインと共に冒険の旅に出る気分になりました。心ならずも定められた未来に必死に抗いつつも、一本芯の通ったヒロイン。砂漠の統治者として己を律しながらもヒロインを愛するヒーロー。本当に素敵な運命の二人です。サスペンス要素もありながら違和感なく最後まで読み進められたのは、作者様の巧みな構成があればこそと思います。ヒーローのスーツ姿と民族衣装にすっかりやられました。その肌触り迄感じられるほど美しいドレープの質感たるや!細やかな表現にうっとりです。
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- 勇気を示す物語 5
- グラハム 2021/06/10 このレビューを 10人の方が参考にしています。
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前作『億万長者の隠された絆』の続編です。双子の弟ダンテが今回の主人公。ヒロインであるウィローとの偶然の出逢いをきっかけに、運命の歯車が回り始めます。本来の自分の弱さもちゃんと理解しているダンテが恋に堕ちたのは、どこか儚く、そして爽やかな印象があるウィロー。名前の通り、ウィローは柳のようなしなやかさを持ち合わせている魅力的な女性です。それぞれの心に澱があり、溢れる程に相手を思いやる気持ちがすれ違いを生じさせますが、その優し過ぎる不協和音でさえ美しい。最後にウィローが受け入れたダンテの本心からの言葉に胸を突かれました。ようやく結ばれた後の二人の会話と、寄り添い合う後ろ姿に涙が零れました。何回でも読み返したくなる優しい物語。作画だけでなく、真原先生の言葉を選ぶセンスに脱帽です!
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- 美しい~! 5
- グラハム 2021/05/07 このレビューを 9人の方が参考にしています。
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登場人物の心の動きに無理がなく、とても美しい物語だと思いました。(中には不心得者がおりますが!) 『うたかた』とは言えない程に真摯なヒーローとヒロインの思いがすれ違ってしまう事もありましたが、少し遠回りはしても最後はそれぞれに自分と向き合い、輝かしい未来へと一歩を踏み出すことになります。 ヒストリカルならではのお衣装や建物、乗り物のデザインも見応えがあります。この作品の中ではインドの描写もあり、緒形先生が如何にこだわって作画されたかが伝わってきます。ヒロインのドレスだけでなく、その髪飾りもTPOに即していて安心して読み進める事が出来る作品です!
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- 穏やかさの中に 5
- グラハム 2021/05/01 このレビューを 11人の方が参考にしています。
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凛とした内面の強さがありながらも、それと同時に見え隠れする人の好さ。 ヒーローはヒロインのそんな二面性をきちんと見抜き、思いを寄せたのだろうと思うのです。 ほんのりとビターな内容もありますが、やはり高倉先生のコミカライズには作品への愛が溢れています。最後のページまでが愛おしく、素晴らしい。 とってもお薦めです!
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