ある特別な力を持ったヒロインと現実主義者なヒーローの物語でした。二人とも社交的ではなく孤独が嫌ではないタイプで、私個人的には彼らに親近感を持ちつつ読んでいましたが、二人とも過去に起きた切ない理由から他人と距離を置きたがるようになったと後に知って切なかったです。ひとつの再会は実現されますが、別の再会は果たせられず、少しビターなエンドとなりますが、しんみり心に響く良作だと思いました。

サスペンスものとして読めば面白かったですが、その分ロマンス部分は今ひとつに感じてしまいました。過去に婚約者を失いつつも前を向き始めていたヒロインに対し、ヒーローは過去に最愛の妻を亡くしたことと悲しい生い立ちも相まって人を愛して傷つくことに強い恐れを抱くタイプです。殺人事件が多く起きたことや被害者の家族の話や事件の捜査などにある程度ページが割かれてしまう都合上、二人の心の葛藤、特にヒーローがヒロインへ惹かれてしまうことの葛藤から、彼女を失いたくないという心境の変化の過程の描写までがややおざなりになってしまった印象を受けてしまいました。あと当然ヒーローヒロインはハッピーエンドなので良いですが、事件の被害者たちはほぼ落ち度のない普通の人たちばかりだったし、愛する人を突然失った被害者の遺族の悲しみに救いはないので、何だか後味の苦い作品に感じました。

優秀かもしれないけど、妻と別れる原因になった元カノを仕事上とは言え側に置くのはなんか違うだろー！

ヒロインの気持ちや行動に振り回されても、ヒーローは決してヒロインに対して声を荒げたり不満を強く漏らしたりせず、ただひたすらにヒロインの気持ちを尊重するタイプだったので珍しいなと思いながら読んでました。ヒーローの言う女心が分からないなんて嘘でしょ!?と言いたくなるくらい、ヒロインへの扱い方、接し方が物語最後まで上手すぎるヒーローでした。

カールはずっと後悔してたし、デレクも変わろうとしてくれてたし、お花屋さんはベリンダのお母さんを気にかけててくれたし、クラスメイトのスコットも気にしてくれていた。 ジェイクの出所後は接近禁止命令も出せるし、何よりギャレットが黙ってませんよ。 反省してる弟にも、鉄拳制裁を喰らわすぐらいだし。 全てめでたしめでたしですが、見た目が今一な娘が綺麗になって見かえすストーリーも、最後の賞もルッキズムではあるけれど、同窓会に再度出ることにしたベリンダの優しさ（強さ）と、見た目では実は判断していなかった人々の思いが集結している、とも言えませんか？

今作は育ちが良く記憶喪失になっても周囲への感謝を忘れない美女のヒロインと、責任感があり妹に過保護気味で少し頑固なイケメン保安官ヒーローの物語でした。ヒロインが記憶を取り戻した時こそ二人の間に一悶着あったものの、作品全体的に美男美女が順当に惹かれ合う真っ当なラブストーリーでした。ヒーローヒロインがすれ違いまくるとイライラするタイプの読者には、今作はすんなり物語が進むのでお勧めですが、私個人の好みとしては捻りのある展開がある方が好きなので物足りなさを感じてしまいました。(ヒロインが記憶喪失になった原因に何か事件性があるのかと思いきや、ただ単に転んだだけという事実に拍子抜けしてしまい……)

今作から、『七日間だけのシンデレラ』『ボスが授けた宝物』と続くシリーズです。HQによくあるドラマティックなストーリーではなく、穏やかな話。いったんは別れた二人ですが、祖母の計らいで、一緒に旅をすることになります。婚約時には話さなかったようなことも素直に話し、理解しあいます。シリーズ３作品の中では１番好きな話でした。

最初にネタバレをするとヒロインに贈り物を送ってきた相手はヒーローではありません。ですが贈り主は割と純情な性格の人物で、ストーカーといった相手ではないのでサスペンス的展開にはなりませんのでご安心ください。序盤から終盤までヒーローヒロインが喧嘩を挟みつつもイチャイチャするホットなシーン多めの今作でした。仕事や家族への責任感が強すぎて物事を悲観的に考え過ぎてしまう不器用なヒロインに、共感しつつもヒーローに仕事の失敗の八つ当たりをしたり彼の誕生日を忘れたりするのは流石にどうかとは思ってしまいました。それでも作者の方が安易にヒロインを妊娠させて仕方なく結婚する展開にせず、ヒロインがもう少し肩の力を抜いてヒーローと生きていこうと決意させたラストにしたのは良かったです。なので、どんなに二人の気持ちが盛り上がっても最後まで避妊具を使うのを忘れなかったヒーローヒロインが個人的に高ポイントでした。

20才の女性の初めてを奪っておいて「誘惑した」だの「肉欲だけだ」だの…気持ち悪い男です。 いわゆる「光○氏的」なものだとしても、まだあちらの方が（歪んでいても）女性に対しての愛情が感じられる。会社のトップで色々常識あるはずなのに、何だこれ？とにかくキモいです。

スーパーまで徒歩20分・クリーニング屋も徒歩15分という…田舎に住んでますが、駅は近いので何とか生活しています。HQって「都会はギスギス・田舎サイコー」パターンで「街に出たがる女性は悪い」ってテンプレありますけど、本当にそうか？といつもそこが引っ掛かります。 隣近所でも数km離れているとか規模が違いますよね。田舎は遠慮ないし、近所の付き合いが濃すぎてどうなのかと。 停電や断水が日常は無理。愛があっても無理。この作品だけではないですが、多少のリアルも含んで欲しい所です。

ヒーローヒロインが愛人関係を結ぶまではあっさり進むのですが、二人の気持ちが本物の愛情に変わった瞬間、イライラするくらい二人の気持ちがすれ違っていくので、ヒロインの友人や無邪気なヒーローの妹たちの存在がなかったら物語が進まなさ過ぎてイライラし通しだったと思います。とはいえその裏でヒロインが国のために戦ってくれた元兵士たちに心を砕き世話する姿は胸を打たれましたし、逢い引きのためにヒロインに呼ばれたと勘違いしたヒーローが先走ってヒロイン叔母の目の前で熱烈なキスをして必死に叔母に言い訳するシーンは面白かったです。コミックス版は未読ですが、原作の長くてくどい部分が上手いことアレンジされていると思いますので、そちらをおすすめします。

「緑の瞳に炎は宿り」に続くデュワー兄弟の嫁取り物語、なぜか次男はスルーして末っ子三男の話。次男の話が邦訳される予定は無いのかな？残念。 女性関係が華々しく放蕩者の三男が、実は3年も前にアメリカで少女だったヒロインと結婚していたことを、英国では結婚したことを誰にも言わなかったのが下衆い。 そんなヒーローが、美しく賢く自立した女性に成長した"妻"と対峙して、愛することを学んでいく行程がロマンス＆ホットシーンに火災事故＆殺人事件とサスペンスも盛り沢山で楽しめる。

漫画のほうを先読。 小説のほうがヒーロー侯爵がヒロインに完全に惚れちゃってる感が強いです。 グラマラスで金髪碧眼な美貌も見た目どストライクだったんたろうな。そこに思いがけず頭脳明晰、しかし世間知らずでおっちょこちょいで、言うこと為すことが予想外。そのうち庇護欲にも駆られて...とヒロイン沼に嵌りこんでいくヒーローが楽しめた。 漫画には出てこなかった黒幕がいるけど、ロマンスという観点ではカットして良かったかも。

シリーズ作品なのですが他シリーズと時系列が同時進行で物語が進むのがユニークだと感じました。(しかも作者が全て別の人物!)とはいえシリーズ全作品読まなくても魔法のスカートについては大体分かるので、今作を単独で読んでも大丈夫です。ヒーローは登場時あまり喋らなかったのでクールなタイプかと思いきや、とても情熱的で優しい男性でした。逆にヒロインは都会で生きていくにはやや危なっかしく、彼女の研究内容も際どいので男性にインタビューする事にヒーロー同様にハラハラしました(実際強盗に襲われてたし)ヒーローは刑事であり犯罪容疑がかかっているヒロインに迂闊に手が出せないという点でしか二人の恋の障害がないので、ちょっと物足りなさを感じてしまいました。(心の内面の葛藤がもう少しあっても良かったかも)しかしながらその分、犬のクレオだったりヒロイン名付け親だったりヒーローの刑事の相棒だったり多彩な登場人物たちとのやり取りがあったので、そこは物語のいいスパイスになりました。

今シリーズは男たちを魅了する魔法のスカートが登場しますが、それ程ファンタジックなストーリーではありませんでした。キャリアアップしたいヒロインが営業で空回りしたり(赤いスーツ来ていきなりやって来られたら自分も顧客側だったら敬遠しそう)罰として嫌々行かされた会社の研修内容を何だかんだ言っても後でちゃんと仕事に活かしていたりと、不器用ながらも一生懸命なところが魅力的でした。ヒーローも仕事を卒なくこなしている様に見えて、心中で悶々とヒロインのことを考えていたり、ヒロインの良いところが研修で潰されて欲しくないと救いの手を差し伸べたり、こっそり裏でヒロインの仕事のライバルを蹴落としたりして彼女への愛の深さを感じました。終盤ヒーローの言葉の裏に隠された本当の気持ちに気付いたヒロインの姿が感動的でした。面白かったです。

今作はヒーローヒロインが共にお互い想いあっているけれど、二人の過去の経験や立場から素直に相手の好意を信じることが出来ないという絶妙な二人の心のすれ違いが終盤まで続くので、あまりにも焦れった過ぎて一読者である私自身非常に身悶えしながら読んでいました。(その分、ラストのホットシーンはここまで耐えた読者の褒美のためなのか描写が長め)そんな二人を間近で見ていたヒーロー友人夫妻が余計な口出しはせず、適度な距離で二人を見守っていたのが単純に凄いと思ってしまいました。自分が友人の立場だったら、イライラするのでさっさと結婚しろとけしかけてしまいそうなので。

四大元素ヒーローズの2作目。前作で憂いを帯びたハンサムだったヒーローが、ヒロインの出産に立ち会うという衝撃的な出会いから便宜結婚を経て真に愛し合う夫婦となっていく物語。 前作に引き続きクリスマスが背景になっていて、キリスト教徒にとってクリスマスというのは家族の絆を強める最重要なイベントなのだな、得心した。

ロマンスと共に、家族を捨てた/捨てられたヒーローとヒロインそれぞれが、クリスマスを共に祝うことで家族との絆を取り戻す話。 当時のキリスト教的倫理観に基づく同性愛者と重婚＆私生児への蔑視が背景となって、時代描写にリアル感を高めていて楽しく読めた。

今作はシリーズ作品のうちの一作で、前作を読んだ人の方が楽しめるかと思います。私は前々作は読んでいましたが前作は読んでいないので、今作ヒーローが前作からいかに変わったのか今作の範囲でしか分からないので感動は今ひとつでした。それでも美人で責任感があるけれど本音を隠してしまう恋に不器用なヒロインと、改心したくて奮闘しているためヒロインに気持ちを伝えられないヒーローのもどかしいやり取りが、焦れったくもあるけれど微笑ましくも感じられてとても良かったです。そして私もヒロイン同様、ヒロイン妹を妊娠させた相手を信用しきれてなかったので、ラストにちゃんと彼がヒロイン妹の元に駆け付けて来てくれてホッとしました。

漫画以上にヒロインにベタ惚れだった。 沈着冷静なはずの公爵の千々に乱れる思いのモノローグが楽しい。 漫画には無かった王妃の前でのプロポーズが不品行この上なくて素敵。

今作は、未亡人ではあるけれど男女の営みや恋の駆け引きがよく分かっていないヒロインが、世馴れたヒーローに翻弄される物語です。一応悪役ポジションの人物がヒロインを惑わしたり事件を起こしたり等、物語を盛り上げてはくれますが全体的に強く印象に残るエピソードもなく、平坦な雰囲気で物語が終わってしまったので拍子抜けしました。ヒーローが良くも悪くも一目惚れしたヒロインに一直線でヒロインについて変に誤解したり馬鹿にしたりしないので、彼の気持ちの変化を楽しめなかったですし、逆にヒーローが一途な分、ヒロインのヒーローへの気持ちと彼に対する態度の迷走っぷりが変に悪目立ちしたように感じました。そんな中ヒロイン姪の成長ぶりは今作において数少ない良かった点なので、機会があれば彼女がヒロインの作品を読んでみたいと思いました。