ハーレヒロインには珍しい。ミステリではなくロマンスなので、謎解きじゃないし事件も起きない。ヒーローは医者で幼馴染で洞察力が高い。インテリ同士、無駄なこじれ方をしないカップル。活字好きには分かりやすく、ロマンチックなセリフの数々は嬉しかったけれど、せっかく漫画なんだから、絵の力も感じたかったな。

事故当時、若いヒロインの未来のために、憎まれ役を演じたヒーロー。悲しいかな、その覚悟が未熟なものだったことは、スクルージと仇名される８年後の姿が証明しています。彼は殻に閉じこもり、ヒロインはもちろん、女友達や両親にも、向き合ってはこなかった。失恋を引きずりまくるヒロインは気の毒ですが、だからこそのハッピーエンド。……けどやっぱり、もっと早く検索しなよと思わずにはいられなかった。

ハーレには時々、「短期間で世界的成功を収めた絶世の美女」が出てきますが、ヒーローとのロマンスより、その成り上がり過程のほうが、面白いんじゃないかなーと思ったりもします。一流の人々の間で活躍するヒロインの目に、所詮は田舎の弁護士が、魅力的に映るのかなあ…。こちらのお話、設定的に、位負けしたヒーローが、きゃんきゃん吠えている印象。

お兄様にエロスを全く感じさせない、作画先生の手腕が光る作品です。これなら確かに、婚約者を奪ったのなんだのという、兄弟間のドロドロなんてありえないでしょう。悪魔なんていなかったけど、他の方が描かれてたら、もう少し情熱的な話になっていた可能性？　

子供の頃、貧乏でいじめられた悔しさをばねに成功したヒーロー。でも、見返すはずのいじめっ子は、謙虚な善人になっていた。ヒロインは良い子だけど、プレイボーイの目を覚ますのは、このダニエルとのエピソード。「古着に魔法をかける」のはコリーンで、ヒーローはスポンサー。ドレスの落札はご祝儀では。「魔法使いは貴方」と感動する、ヒロインの言い回しに、なんか違和感。　

きらびやかな画面と畳みかけられるギャグに目を回しつつ読む話。間違っても、立ち止まって考えたりしてはいけない。

本人すら気づかない甥っ子の一目ぼれをいち早く見抜き、気を利かせたスルタン。仲人するなら、ちゃんと最後まで責任をもって！　まあ、もともととっても理性的で賢いお二人。放っといても、いずれまとまったと思うけど。あとはビリー、画面からは全く障害が伝わらないので、もう少し説明が欲しかったかな…。

服役中の元妻をもつヒーロー。無邪気で優しいヒロインに惹かれる気持ち、よくわかります。問題は、素人ながら一流デザイナーが目を止めるような、魅力のある服を作れる彼女の才能。作画さんには確かに酷な注文ですが、「古着を手直しして生まれ変わった」「素晴らしくセンスのいい」お洋服の絵の数々に、説得力が欲しかった。

社長の息子で身元が明らかな上司（36）の、顔だけ誰も知らないなんて、２１世紀じゃまず無理でしょう。…なんて、突っ込むだけ野暮と言うもの。ドイツにいるとか半年以上も騙されながら、一切何も気づかない、天然うっかり秘書だからこそ、あからさまな玉の輿狙いでも、ヒーローや会社の人たちに愛されている。ヒロインのお母さん、30半ばで倒れて車椅子生活なら、まだ40代。お金をかけて治療すれば、治る見込みがありそう。そういや、アットホームで風通しの良い会社に見えたけど、産業スパイ事件の余波はなかったのかな？

要点がまとまっていて、このページ数でちょうどいい。どうせ、スマートで社会的地位の高いおじさんたちが、働き者の健気な娘さんに一目ぼれして、気の毒な娘さんには見えないところで、ジタバタしてる話なんだから。このおじさんたち、女性の趣味はいいけれど、アプローチが今一つ、後手に回ってばかりなのもお約束。

マウンティング至上主義の名門ケンカップル。ヒロインがヒーローに、温厚な元婚約者をけなされて、「あなたにそんなことを言う資格は無い」と罵るシーンがありますが、ほんとそれな…。でも、幸せの形は人それぞれで、この二人の場合、張り合う刺激がやみつきだってことなんでしょう。いいから死ぬまでやってなさい、もう。

多分この世のどこかには、年上未亡人に恋してしまう、大富豪もいるのでは。後ろ向きになる主役二人を励まして、キューピッドを務めてくれる、メガネの息子や友人たち。これまで結構な数の子持ちハーレを読んできたけど、このパターンのハッピーエンドは、周囲の理解や協力が必須。ていうか、要するに子供に気に入られるかどうかですよ…。ヒーロー・ヒロインに、それまで培った人徳あってこそのラストですね。

人は何かで死にかけると、子孫を残したくなるものらしい。というわけで、彼女も20歳の長男もいるバツ２の業界人にはまる25歳の女の子。親友が七十代女性、ヒーロー父とも友達付き合いという環境のおかげで、40歳のヒーローに、若僧感が加味されている。でも、私が親か友人なら、やっぱりやめておけと言うかも。とはいえ藤田先生のおかげで、ひたすらカッコいいからいいや。お幸せに！

美人で優しく優秀な女性が、27～３２歳まで片想い。勿体ない！　無論、その間のヒーローは、娘の治療が最優先で、恋愛なんか二の次だったのでしょうけど。その分、意識してから早いのは納得です。何より、娘さんとばあやさんに慕われてるのが大きい。五年間は無駄じゃなかった。どうかお幸せに！

作画先生の美麗なヒーロー絵に脱帽です。見目麗しいお顔の裏は、名門妻との子作りに失敗して自信喪失、傷ついた男のプライドを賭けて、逃げた愛人（元メイド）を追いかけ回す定番鬼畜野郎ですが。途中、ベッドに潜り込んできた看護士たちを追い出したとか言ってましたが、それってつまり、ドアマット体質の女性相手じゃないと、うまくいかない男性ってことでは…。

従兄弟とそっくりというヒロインが、男女の描き分けをされない作画さんの絵に適してると思います。ただ、王冠モチーフだの王家の末裔伝説だのが強調されているせいで、勝手にロイヤルウェディング的なラストを期待してしまい、所詮一般人の美形署長の影が薄い。おてんば金髪王女のほうが、ずっと印象に残ります。従兄と王女様の話だったら、ハーレクインらしかったのに。肩透かしを食らった感じ。

面白かったー！！最高の夢の時間をありがとう桜屋先生。ロマンスとしても、Ｈ＆Ｈそれぞれの成長物語としても素敵。いずれ女王になるプリンセスが、父王譲りの短気さを、優しかった亡母の教えでカバーしながら、健気にヒーローに寄り添う姿がとってもキュート。そしてまた、破局目指して頑張る（笑）ヒーロー、ほんとイケズな奴ですが、インテリ特殊部隊の黒髪初恋王子とか、設定贅沢すぎてもうｗｗ。

納得のシンデレラストーリーです。変身前と後とで、ちゃんと画面に魔法が掛かる。契約通り、双方が納得するまで白い結婚だったのも、原作は知りませんが個人的に好感度高し。トラウマ持ちのヒーローにも、王国の為にも最善の結婚万歳！欲を言えば、ヒロインを応援するポジションのキャラが一人くらいは欲しかったかな。ヒロイン妹やヒーロー家族など、キーマンになる存在が、ほぼ名前だけの登場なので。

無料で楽しませて頂いといて、本当申し訳ないのだけど、ヒーローの懺悔＆告白のキメが、「愛してやる」？　「愛している」の誤植じゃなくて？　目を疑ってしまいました。ヒロインは結局、薄幸な状態を好む傾向の女性みたい。　

エリートなのにスマホを「カチカチ」。妊娠３５週で「つい夢中で」ヒールのブーツを履くヒロイン。だからこそ、親友産科女医も恋人？との臨月直前小旅行をお勧めするのね。 無料で楽しませて頂いてますが、「つい」突っ込まずにいられませんｗｗ

美しい絵と軽快なセリフ回しで、ストレスなく一気に読めます。味方も悪役もキャラが立っていて、無償の愛を伝えるヒロインのシーンは、感動ものの美しさ。ド定番の勘違い系傲慢ヒーローも、この漫画家さんの手にかかると、愛すべき不器用少年の成長物語に。読後感の良さもこの人ならではですね。

戦争・後遺症・孤児・事故・婚約破棄・子宮喪失…、そういえば三日くらいしか経ってなかった、と気が付いても泣かされる。

丸く収まったからいいようなものの、そうでなければトラブル続出間違いなし。全然出てこないけど、元彼の家族が成り行きを知ったら、超微妙な気分になると思う。それからヒーロー、一見地味な割にゆきずりの関係を山ほど築いてきたみたいだし、将来、他に隠し子が出てくる可能性は、ちゃんと覚悟しといたほうがいい。

お話も面白いし、絵も綺麗。この漫画家さんの過去作も読んでいるので、ときどき「あれ？」と思うこともあったけれども。最終的に、悪人にもそれなりの罰と救済？があり、赦してあげられる流れ（故人になったしね）も自然で良かったです。

全部知ってたんなら、ヒーローが週一でトランプしに来てた時に、教えといてあげなよ。当事者と、かわいい孫と、ひ孫の事だよ？

偏屈ヒロインのロマンスをサイドストーリーにした、ヒーローの復讐ものです。裁判の場面が話のクライマックスで、撃たれかけるのもお約束。だけど、超サディスト気質の悪役、何十年も野放しだったんだよね…、絶対他にも事件起こしてそうなのに、捕まらなかったんだねえ。

女性であること以外、何もないかのように描かれるヒロイン。ですがひとたび事件が起きると、特化した能力をいかんなく発揮。自分に同じことができるかと言うと、分からないとしか言えない。

いい面と悪い面、両方の意味で。ヒロイン、よっぽど地元にいい男がいなかったんだね。ラスト、刑事がヒロイン母国に行くと言ってるけど、国名からしてドイツ語圏だと思われます。やってけるかなー。などと、難しく考えたら負けのお話。