捨てられる男たち
劣化した「男社会」の裏で起きていること
部下のための熱血指導が誤算!
★『週刊エコノミスト』8. 24号書籍紹介★毎日新聞「発言」著者寄稿(7/8)★『THE21』8月号 書籍紹介(7/10発売号)★PRESIDENT 2021年7.2号 紹介!
このままでは男たちは職場や家庭だけでなく社会からも捨てられてしまう──
ベストセラー『男性漂流 男たちは何におびえているか』『「女性活躍」に翻弄される人びと』著者・最新刊!
「アイツのためを思った指導がパワハラだなんて、納得できるわけがない」
「チャンスを与えてやったのに、セクハラ告発の不意打ちを食らうなんて……」
普段はネガティブな感情を露わにすることのない男たちが目を充血させ、時に嗚咽しながら必死に思いの丈をぶつける。本書は、マスメディアからは伝わってこない市井の人びとの声を丁寧に掬い上げ、そのギャップを鮮やかに描いてきた著者が「男社会」の崩壊をリアルに暴くルポルタージュである。20年以上にわたる取材から迫る真相は、読む者を圧倒する。
本書に登場する管理職の中年男性たちは、取材の過程で、部下の成長を心から願い、長時間労働の是正、女性登用の促進など職場が抱える課題に果敢に立ち向かい、そして妻子への想いを熱く語っていた。では、なぜそんな彼らが訴えられ、引きずり下ろされたのか。パワハラやセクハラ、家庭内モラハラなどのハラスメントの告発を受けるに至った社会的背景や心理的要因を探れば探るほど、「男たち」の悲哀を感じずにはいられない。
“無自覚ハラスメント”──。これが彼らが陥った行為の正体である。
そして“無自覚ハラスメント”に及ぶ要因を数多の取材事例から分析して浮き彫りになったのが、彼らに無批判に内在化された「男社会」の価値観だった。
本書の特徴は最長で約20年にわたり、同じ取材対象者に継続的にインタビューを行った定点観測ルポになっている点だ。例えば、過去の時点では平静を装ったり、胸に秘めていたりした苦悩が、その後の取材で初めて明るみになるケースも少なくない。
はじめに
第1章 パワハラに足をすくわれる男性上司
1 「部下のため」熱血指導の誤算
2 働き方改革がパワハラの温床
3 “偽パワハラ”で部下に追い落とされる
4 若手社員からの“逆パワハラ”で会社も敵に
5 「男社会」の価値観が誘発するパワハラ
第2章 セクハラという「聖域」
1 「活躍」女性からの不意打ち
2 思わぬ「マタハラ」告発
3 男性部下への助言が「パタハラ」に
4 部下への思い込みが招くセクハラ
第3章 女たちのジレンマ
1 “女を武器”に「被害者」に活路
2 女性上司が陥る“女王蜂症候群”
3 癒し求めた男性部下からの告発
4 「男社会」を引きずる女たちの葛藤
第4章 モラハラで家庭喪失
1 “職場化する家庭”の末路
2 “無自覚モラハラ”で妻の逆襲
3 定年夫の孤独
4 家庭という“密室”で起こる脅威
第5章 誰も捨てられない社会のつくり方
1 “無自覚ハラスメント”と社会的排除
2 世代間・性差の壁を超えて
3 役割期待のズレを知る
4 「男らしさ」の呪いを解く
おわりに
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(C) Shoko Okuda 2021
出版日:2021/06/04